中国2007年大予想、もとへ大妄想?その3

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つづき

 ■闘争といえば、言論(の自由をめぐる)闘争。言論(報道をふくむ)をめぐる環境は07年、さらに悪化すると被害妄想。もちろん、中国政府は北京五輪時の外国メディア取材について、「自由取材を認める」として、地方取材の自由(一応規定では地方政府の外事弁公室の許可が必要)やジャーナリストビザ発効の便宜を約束し、開かれたイメージを訴えているが、国内メディアへの締め付けはむしろ強まっているように見える。また中国人フリージャーナリストへの締め付けは厳しいを通り越して弾圧にちかい。

 ■言葉も不自由で中国への理解があさい北京五輪のために派遣されてくる外国記者など野放しにしていても、中国政府や党にとってさほど恐れるにたらない。が中国人記者はそうではない。国内メディア所属の記者ならば、権力で抑え込むことができるが、恐いのは中国人フリージャーナリストが外国メディアやネット上の非公式メディアに情報を売ったり寄稿したりすることだ。こういった中国人フリージャーナリストが国家機密漏洩罪などに問われるケースは06年もめだった(具体例はしょっちゃいますが)。実は最近、友人の中国人ジャーナリストも取材資料の没収にあった。え?私のせい?なんて思うと、やはり瞬間的には取材意欲がなえるよね。

 ■作家で非公認キリスト教信者の余傑さんも年末の訪日予定が、妨害にあって断念させられた。古い彼の原稿について、思い出したように名誉毀損で訴えられ、この裁判に決着がつくまで出国禁止処分だという。

 ■のぞみの綱はインターネットの発達だ。ネット統制が日をおうごとに厳しくなっていくのは止められないが、この統制をくぐる技術の普及も遅くない。ただ個人的にはAOLの中国よりが気になる。AOLのブラウザーは自動的にプロキシを捜してつなげてくれるので、これまで愛用していたのだが、最近どうもつながりが悪い。AOLが本格的に中国進出したら、この便利なブラウザが使えないかもと思うと、憂鬱だ。

 ■闘争といえば、国際社会におけるパワーゲームもひとつの闘争のかたちか。北朝鮮の核問題をこのごにおよんで6カ国協議の話し合いで片付けられるなどと中国も本気では思っていまい。が、中国にとって半島の非核化がもっともプライオリティの高い国際問題、というわけでもなさそうだ。よって、とりあえずは膠着状態、というのが結構理想だったりするのではないか。それは実は米国にとっても同じだったり。いっそのこと北朝鮮がもっと暴走して、本気で中国を怒らせてくれないか、と拉致被害者およびその家族の高齢化という切実な問題を気にする一日本人は思ってしまうのである。
 
 ■ところで米中関係は微妙にやらしいムードになってきている気がする。08年の大統領選で民主党政権になる可能性が高くなってきたことを見越して、中国が期待をふくらましているから?あるいは中南米の左派政権台頭ブームにのっかって強気の対米姿勢にでれそうな国際環境ができてきたから?米国が中国にすり寄り、中国が米国を取り込んできているように見えるのは気のせいだろうか。米中の貿易・経済問題は内政の安定に直結する極めてプライオリティが高い問題で、甘い言葉と手管で双方が互いの妥協と譲歩を引き出そうと一生懸命なだけなのかもしれないが、07年は、米中がもっといちゃいちゃするんじゃないだろうか、それをみて日本は冷静でいられるか、と気がかりである。

 ■もっとも日中関係も決して悪くはないはず。なんたって国交正常化35周年。中国はやる気まんまんである。温家宝首相の春の訪日では、うまくいけば宮中のお茶会ぐらいに招いてほしい、と思っているようだ。胡錦濤国家主席も党大会が終わったあとぐらいに訪日するとみられる。盧溝橋事件、南京事件70周年といった抗日記念日もあるが、中国政府はむしろ控えめにやりたいようだ。たしかに南京大虐殺記念館の拡張工事が行われ世界遺産登録への意欲もあるようだが、拡張が完成し再オープンするのはするのは07年12月13日の南京陥落日といわれている。つまり年末まで、南京事件関連の行事はできない、させない、という政府の意志表示、らしい。あとこのブログでも紹介した陸川監督の南京事件映画「南京!南京!」は、今も政府の批准がでていない。

 ■ただ日本はこの中国のやさしげなムードに籠絡されないよう気をつけてほしいところである。米国と両天秤にかけられ、あせってミツグ君(古い!)になってほしくない。中国は歴史上、「友好?友好?」と叫んでいるときほど、腹黒い計算をしていることが多いことを思い出そう(どうして、福島さんはそう素直じゃないんですか、と誰かから怒られそう)。

 ■このほか、都市と農村の闘争、地方と中央の闘争、外来文化エンタメと国内文化の闘争…といろいろあるが、気がついたらもう新年だった。この企画って、昨年内にアップしなきゃいけなかったのに、締め切りやぶっちゃったよ。すみません。。

 ■ということで、あけまして、おめでとうございます

 昨年は、当ブログの妄言、暴言におつきあいいただきありがとうございました。本年も、時間の許す限り、ネットのつながる限り、ネタの続く限り、更新いたしますので、よろしくお願いいたします。

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「中国2007年大予想、もとへ大妄想?その3」への15件のフィードバック

  1. 今年も面白い記事を期待してます!
    QQからいつもネットにつなげるのですが、27日に「日本 南京大虐殺を認めた」という見出しがでていてびっくりしました。よく読んだら、「日本でなかったと言ったいる人はほとんどいない。でも人数には議論がある」という日本側の発言も書いてありました。日本側の発言は日本では当たり前の発言ですが、中国ではこれまで報道されてこなかったのでしょうか?
    70周年、中国に反日の風が吹きませんように・・・生活しにくい。

  2. 福島様
     あけましておめでとうございます。
     
     ブッシュ政権の失速、民主党の中間選挙勝利、6ケ国協議でのホスト役等々、中国としては追い風の様に思える状況がみえます。
     しかし、中国の内部矛盾は、それらの好条件(中国にとって)を上回る負のエネルギーになりうると思われます。
     まあでも、「対立物の統一と闘争」が存在のありようと共産主義は考えるんだから、彼ら中国共産党幹部にとっては日常って事でしょうかね。

  3. 一筋縄では行かない中国から見れば、言いたい放題でも日本政府の対応はそれ程敏感ではない気がします。
    それより国内の言論には相当敏感ですね。政府から見れば不平分子なのでしょうが過激な発言に限らず統制は厳しいようです。
    またうまくそれらを煽る形でも利用しているのが見受けられます。
    彼らの活動拠点は本土から香港に移動しているとも聞きますがどうなんでしょう。転んでもただでは起きない人達には日本は赤子の手をひねる感じですかね。

  4. 中国はアメリカ議会を警戒してるようですね
    人権問題にうるさい議長がいますし、知的所有権も問題になるでしょう
    中国としては日本を悪役に仕立てるためにも「南京」を騒ぐのではないかと見ています
    ロビー活動もやり易くなるでしょうし、人権問題の矛先を日本に摩り替えるためにも益々戦中の悪行(?)を言いたて靖国批判を繰り返し、日本こそ人権無視国だという印象をアメリカ国民に与え、議会を動かそうとするのではないのでしょうか
    マスコミ操作は中国の得意とする戦術です
    あの戦争も「日本は悪」という印象を与える事に成功しています
    日本政府、マスコミは対外宣伝をしっかりして行かないとまた同じようにしてやられますね

  5. こちらで新年おめでとうございます。
    去年はツンデレが流行しましたから、今年は方向転換ですね。
    戦略的互恵関係ですから打算のうえでデレる=サンデレでしょうか。
    それとも人民の反日に耐えながらデレるからニンデレでしょうか。
    自分で書いておきながらですがどうも変です。

  6. To nhatnhan625さん
    今年は日中関係は大丈夫そうですね。中国も南京事件の盛り上げにのりきではなさそうです。もし、南京事件をもりあげたいのであれば、拡張工事は06年にすませておかねばならなかったから。それをあえて07年も拡張工事を続けている、つまり記念館は工事中という建前で、本拠地での記念行事を封じ込めているあいだに日中関係をもりあげよう、という狙いなのだと思うのですよ。(根拠なし)

  7. To kikuti-zinnさん
    中国の仮想敵は、もう外国にはなく人民なのかもしれません。

  8. To さくやこの花さん
    日中友好というのは、あくまで、中国の今年の戦略であって、国家と国家のあいだに真の友好が存在するのかどうかは知りません。おなじように、日米同盟も麗しい友情があるわけではないでしょう。米現政権のレームダック、あるいは将来の政権交代をみすえた中国の動きをながめつつ、日本も柔軟にしなやかにたちまわってほしいものです。

  9. To kyamagaさん
     中国が政策として日中友好をもりあげようとすると、反日言論は当然、統制対象になります。そうすると、香港や海外華僑の間で、反日がもりあがるわけです。つまり反日と反政府が、リンクしてしまう。在米の中国系民主運動家には、反日家が多いのですが、そういう背景があると思います。

  10. To take8さん
    日中関係が最悪だった一昨年から昨年にかけて、中国外務省関係者が「日中関係を改善する方法」について、いろいろな識者から聞き回っていたことがありました。そのとき、ある識者は「日中関係は、米中関係を改善すれば自然とよくなる」といったそうです。つまり、日本は米国の属国扱い、なのです。
     今年は、日、米、中の三角関係がどんな形になるか気をつけたいと思います。個人的には、日本を南京事件でワルモノにしたてる、という単純な形ではないと思いますが。中国にとっては、外の敵より内の敵(国民??)の方が問題なので、その内の敵をなだめるために多少の反日宣伝はするかもしれません。ただ、中国にとってはやはり米国が潜在的なライバル。三角関係で、取り合いの対象になるヒロインは日本ではないかと思います。中国は米国に代わって、日本を完全にとりこみたい、属国扱いしたいのではないでしょうか。かつてはそれに近い状況もありましたし。今年は、その過程の途中で、米中関係が急に接近して、日本をあわてさせたりするかもしれません。

  11. To ゆーこさん
    サンデレ、がいいですね。おもてむきデレデレしながら、ちゃーんと腹では計算していてほしいもの。

  12. 福島 様
    『調査する 度に数字が 多くなる』
    慰安婦も、虐殺人数も・・・何故か多くなってしまう。
    楽しい国ですね、中国。
    自国のプロパガンダに則った手法を展開する。
    しかし、証拠は・・・・。
    半世紀後くらいの人々が現在のこうしたやりとりを見たら、思わず笑ってしまうんでしょうね。

  13. To kkzz07さん
    『反日を あおりすぎたら 反政府』
    プロパガンダで完全に民意をコントロールできると思ってほしくないのですがね。

  14. 福島様、少々、遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
    中国からの最前線ブログ、楽しく拝見しております。
    が、言論の締め付けが厳しいとのこと、貴社は中国政府にとって100%歓迎できる存在ではないと思いますので、くれぐれも御身大切になさって下さい。
    あと日中友好ですが、日本側は首相が変わった以外、何にも変わっていないのですがねぇ。中国側の都合で友好状態が変わるということですか。日本でははしごを外された新聞が幾つかありましたね。

  15. 日本からみると、民主党が大統領になった後のアメリカが日本の頭越しに中国と手を握られるのが、一番困ると存じます。中国は問題を残しながらも結局今後も発展しつ続けるでしょう。日本の経済及び国際政治上(常任理事国になりたいなど)の現状から考えて、中国に日中関係を重視されている間が花であると思います。中国の国内問題なんて、日本人が関心をもっても所詮関与できないものです。中国の反日憤青が愚かであるのとと同様、中国は共産党政権だから悪だとか、いずれだめになるだろうといった発想は、相手を甘くみた危険な考え方であると存じます。
    日本は日米関係を基礎としながら、日中関係において、どこで中国の要求を聞き、中国に何の要求をするか、戦略的思考が必要です。現状では日本の関心は、北朝鮮拉致問題に偏りすぎている気がします。中国が靖国参拝を嫌なら十年位やめてやればいいし、その代わり南京の世界遺産なんてやめてくれとか、教育を親日にしてくれとか要求すればいいのです。お互いに相手の意図を冷静に見極め、警戒を緩めず、利用しあっていくことこそ、長続きする友好関係と存じます。

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