■何かきょうも長い一日だった。日本という国はニュースの賞味期限がすぐきれる。きょうは、昼あたりから、鳩山総務大臣の辞任の話題一色。きのうは対北朝鮮の安保理決議が旬かな、と思ったんだけれど。ちなみに、今週末のネットインタビュー「福島香織のあれも聞きたい」は、産経読者にはあまり人気のない自民党内きってのリベラル派の加藤紘一氏に、日中関係とか北朝鮮問題とかお聞きした。ちなみに福島も産経社内ではかなりリベラル派だと思っているのだが、誰も信じてくれない。今晩、本社にいって、土曜の朝にアップできるようタイマーをかけておく、予定。
■鳩山総務大臣の辞任については、おそらく紙面のほうで怒涛のような報道があるので、ブログではスルー。しかし、日本の大臣というのは、せっかく手にいれた権力に執着しない人が多い。中国人なら絶対己の正義を貫くよりは、ひよって要職の地位を守る方を選ぶはず。だいたい正義なんて、相対的なものだから、ちょっと見方を変えればすぐ正義でなくなる。自分を納得させるなんて意外に簡単だ。で、いったんひいて見せて、うらで陰謀を練って、狙った相手を失脚させる…。
■考えて見れば、中国では自らの発言、失言で要職のポジションを失うケースは少なく、失脚する人は、権力闘争を背景にした陰謀によって陥れられることが多い。確かに表向きは汚職とかだけど。麻生政権で要職を失った政治家を見渡せば、ほとんどが自ら発した発言がブーメランのように返ってきたり、あるいは酒とか女性とかが原因。陰謀によって狙い撃ちされたというよりは、意地をはったり、自制不足をつっこまれたりという自滅パターン。民主党の小沢さんの秘書が起訴された件ですら、陰謀臭がしない。民主党側は陰謀といっているようだが、あれは自民党の陰謀というよりは、検察の意地ってやつではないかな?
■で、福島の興味は再び陰謀渦巻く朝鮮半島や中国に。金正男氏の亡命話が浮上したり、中国様はなにやら一生懸命画策されているようですな。
■日本としては、北朝鮮に対する国連安保理決議案の中で制裁の「義務化」という文言がいれてもらえず、悔しい思いをした。日本外交がへたれなのか。いやいやアメリカの凋落っぷりが如実に反映されたということか。けっきょく最後まで臨検義務化に抵抗した中ロ、特に中国様の言うことは聞かざるを得ないことがはっきりした。中国様は、前回の北朝鮮の核実験のときは丹東の原油パイプラインのバブルを閉めて北朝鮮をきりきり締め上げたのにくらべ、今回はえらく、北朝鮮に遠慮深い。いったいなぜ?中国様は北朝鮮が核保有国になってもかまわないのか?かの国が核保有国なることよりも、もっと中国にとって関心の高い、優先順位の高いテーマがあるということなのか?
■てな、ことをひさびさに真面目に考えてみたのは、次のようなワシントンポストのコラムをよんだから。
アンヌ・アップルバームという人のコラムで、見出しは
「北朝鮮は中国が育てた脅威」
「平壌のシャドーボクシング」、
おっ刺激的。
■コラムでは、、今回の北朝鮮の核実験は、中国が黒幕として存在しており、目的は米国のアジアにおける威信に打撃をあたえ、米国の核拡散にたいする忍耐の程度を探るため、という「陰謀論」を展開している。
■北朝鮮はワシントンとの直接交渉に対して不満を感じており、ワシントンにさらなる譲歩をさせようと望んで今度の核実験を行ったというのが一般の解釈なのだが、このコラムでは、次のような分析をくわえている。
■「北朝鮮が強硬な姿勢にでて、戦争の準備をすることは、ひょっとすると中国にとってのぞましいことかもしれない」
■この結論はなにか重大な根拠があるからではなくて、コラムニストのロジックから導いた結論であるが、ちょっとその言い分を紹介すると、
■①中国は北朝鮮に唯一影響力を発揮できる国である。
②なおかつ、唯一北朝鮮と外交ルートをもつ大国である。
③なおかつ、その気になれば、北朝鮮政権を転覆させるだけの実力もある。
④中国が北朝鮮に対するエネルギー供給を中断し、貿易ルートを閉鎖し、北朝鮮人に対し国境を開いて難民の流入を迎えたら、ベルリンの壁が脱出難民の洪水で崩壊したときと同様、北朝鮮政権は間違いなく崩壊する。中国の北朝鮮への影響力は、国連安保理より大きい。
⑤しかし、中国は北朝鮮の核開発阻止のためにその影響力を行使しない。口では北朝鮮の核開発停止にむけての努力をさけびながら、座して朝鮮事態の悪化を眺めている。なぜか。
→それは米国の軍事行動力をチェックするためです。
■アップルバーム女史は、「中国はアメリカに変わって、東アジアのリーダーたる地位を望んでいる。中国のこの数年の海軍にへの巨額軍費の投入がその証拠。70隻の潜水艦のうち10隻は原子力潜水艦だ。空母の建設計画もすすんでいるし、中国軍事力報告によれば、長距離対艦ミサイルなども配備ずみ」といって、中国の軍事覇権への意欲を紹介。
■さらに「オバマ政権が北朝鮮の核の危機にどう対処するか、アジア各国は目下観察中。オバマ政権がもし、北朝鮮の核保有を阻止できないなら、韓国(あえて日本とはいわず)あるいは台湾はどのような結論にいたるか。」
「アメリカの核の傘は以前のように効果的に広くはないのではないか。中国こそ、東アジアの核の傘たりえるのではないかと考えまいか」
■というわけで、中国がリモートコントロールで北朝鮮をあやつり、この危険なゲームをさせて、地域の危機意識をあおっているというような話になるのだ。で、コラムは、「もちろん、日本は中国がアジアの盟主となることは面白くないし、台湾も中国に統一されたいなんて思っていない。日本は自前で核抑止能力を備える選択もあるし、そうなれば、韓国、台湾も続く。軍拡競争が展開される。だから、中国は大きなリスクを侵している…」といっているのだが、「そうであっても、中国は自分の軍事力を示すことなく、北朝鮮に核実験させることで、米国の今の軍事行動力を見極めることができるのだ」…。
■コラムだから、思いっきり想像の翼を広げているのか。それとも、なにかこう書ける情報をもっているのかは知らない。ただ、このコラムを読んで、人民解放軍の幹部が書いた論文かい、と思ったのも事実。解放軍の軍人学者が書く論文というのは、ときに、お前らもっと国際社会をしれよ、己をしれよ、といいたくなるほど夢見がちだ。今回の北朝鮮の核実験が、中国のリモートコントロールによる陰謀だというのは言い過ぎだとしても、コラムにあるように、「アメリカにかわりアジアの核の傘たる役割を担う中国」というドリームを見ている解放軍幹部の人っていそうな気がする。
■まあ陰謀には疎い日本人は、ばかばかしいと思うかもしれないが、陰謀というのは普通の人がまさかと思う方向から、とっぴょうしもない形でしかけられるから成功するのだろう。ちなみに、中国人の中には、今回の北朝鮮の核実験を口実に、日本の軍国主義勢力が台頭しようと陰謀をねっている、とか言う人もいるよ。
私は日本人も、もうちょこっと陰謀の操り方というものを研究すればいいのにと思う。
加藤紘一氏インタビュー楽しみにしてます。次は山拓お願いします。
YKK大嫌いです。
福島記者
> …も産経社内ではかなりリベラル派だと思っているのだが、誰も信じてくれない…
リベラルの語源からいけば福島記者の立ち位置は多分そうなんでしょうが、日本のマスメディアは保守主義vsリベラルの構図を虚構として成立させている嫌いがありますから…産經新聞の論調の根底に流れるのは自由主義だと私は確信しているもんで、慰めにはならんですかね?
加藤紘一なんて偽装リベラルですよ。 鳩山兄弟同様己を正義と言い張る輩なんてのは異論を悪としたがるから、宗教的原理主義者のレッテル貼る方がぴったり来るんではないかと…って事で「あれ聞き」は精読させて頂くとします。
> 日本人も、もうちょこっと陰謀の操り方というものを研究すればいいのに…
スキャンダラスなネタの報道に終始する大手マスメディアの風潮がそのまま政界にも伝播しているんではないかと…そっち系出身の政治家も多いもんねぇ。
ゴシップはある意味娯楽だけど、陰謀ってのはタマの取り合い故に…当然研究は必要だけど、その目的をどこに置くかから考え直す事が最も要求される事なのかも…
>日本は自前で核抑止能力を備える選択もあるし、そうなれば、韓国、台湾も続く。軍拡競争が展開される。
決まり文句のようにこういう言い方がされますが、冷静に日本の実情を観察すれば、日本の核武装は、当面あり得ないということがわかるはずです。シナもその程度のことは見抜いているでしょう。
私は核武装に賛成ですが、現実を見ればあまりにも自前の核武装への道のりはけわしいのです。
政治的には、間もなく左翼(=民主党)政権が誕生するでしょうから、それだけで核武装は当面不可能になります。一般の国民も日教組教育のせいで核アレルギーという病気にかかっていますので、治療はほとんど不可能です。
技術的には、日本が保有する大量のプルトニウムは不純物が多くて核兵器には使用できません。ですから、兵器級プルトニウムの生産が可能な黒鉛炉の建設から始めなければなりませんので、核保有の決断をするとしても、実現までには数年を要します。
そういうわけで、シナが日本の核武装を警戒しているというのは、その振りをしているだけだと思います。
>中国はアメリカに変わって、東アジアのリーダーたる地位を望んでいる。
シナ政権が望んでいるのは、共産党独裁の維持ではないでしょうか。そのために必要ならなんでもすると。
独裁維持のためには国民の不満を抑えなければならず、そのためには生活を向上させなければならず、そのためには資源・エネルギー・食糧を確保しなければならないと。
そして、そのためには、他国を武力により押さえつけ、属国化しなければならないと。
こう考えているような気がしますが、いかがでしょうか。
北朝鮮は、シナが戦争をするときの便利なコマとして温存したい、ということではないでしょうか。元寇において朝鮮人が動員されたという歴史的な事実を思い出すべきではないでしょうか。
タイトル見た瞬間!!
笑いましたね~。てのは、同じ事考えてたから。。。
内容見て更に爆笑!!理由は同じ。。
多くの良識ある日本人は、外国のコラムを見ずとも、そう思ってる人達も多いのでは。。。
そう思わない人が政府中枢に居るのは信じられないけど、まぁスパイ天国&世界の常識日本の非常識を信奉する脳内お花畑人達が居る日本たる所以でしょうか。
陰謀などではなく、只の政策だと思うのですが、、。
ごく普通の、、。
中共の政策ってちぐはぐだから分かりづらいですね。
巨大な人口を背景とした消費市場に各国の企業を巻き込むことで安全保障としている面があるかと思えば、そうした企業の持つ技術や知的財産を平気で取り上げようとする旧い「国産」指向があったり。
結局は中共の中のどの勢力が相対的にいまの政治に対する主導力を発揮しているのか?って視点がないと混乱するばかりです。
そう言う記事を期待していますw
あと、多国籍企業ってほとんど無国籍企業と同義ですから、政府間の思惑とは別に、各業界メジャーがどのように中共と関わっているか?って視点があると面白いです。麻生セメントに出資した欧米のセメントメジャーは北朝鮮でも合弁企業立ち上げ、原子力設備用セメントの供給をしています。
儲かればなんでもありって勢力がある訳ですから、そう言うのも教えてもらえると面白いです。
北朝鮮の核実験は米国の陰謀!? (笑)。
http://news.google.co.jp/news?hl=ja&q=F22 ステルス 戦闘機
http://find.2ch.net/?STR=%A3%C6%A3%B2%A3%B2+%A5%B9%A5%C6%A5%EB%A5%B9+%C0%EF%C6%AE%B5%A1
【米国】ステルス戦闘機F22ラプターの輸出解禁を提案、1機250億円-米上院歳出委員長★8
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1244475998/
【軍需/防衛】日本の次期主力戦闘機候補『F22 ステルス戦闘機』、価格は247億円 [06/07]
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1244304822/
【米国】ゲーツ国防長官、ステルス戦闘機F22の発注中止を大統領に提言すると発表[09/04/07]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1239083216/
【アメリカ】ステルス戦闘機F22、オバマ政権で生産中止?国防総省指示[08/11/22]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1227336175/
福島記者、こんばんは。(まだ宵の口?
↓こんなrssフィードもありました。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/rss/linkset/2005/03/24/LI2005032401432.xml
中国が最優先するのは、北鮮の体制維持ですよね。
できれば集団指導体制への移行することを望んでいるけど、体制が維持できるのならば、世襲独裁も容認していますね。
北鮮の体制崩壊によって国連軍の信託統治になることや韓国主導の統一は、絶対に認めないでしょう。
米軍との緩衝地帯=北鮮←人民解放軍にとって絶対必要。
実質的な反米政策をかかげる民主党が政権を握れば、日米安保体制は崩壊するでしょう。独自核武装もままならず、丸裸のままの日本はやがてシナの植民地に転落することになるでしょう。
以下は石平著「中国大逆流」KKベストセラーズ(2009年6月)の要旨です。
この本でいう「逆流」とは、毛沢東主義への回帰を指す。中国で力を得ているのは「08憲章」に象徴される民主化運動ではなく、鄧小平の改革路線が生み出した腐敗と絶望への反動としての毛沢東崇拝の復活なのだという。
さらに続けて、四兆元景気刺激策は成長率の持ち上げだけを重視した「カンフル剤」の大量注射に頼った景気対策であり、失敗に終わると予想する。
中国社会はどこかの転換点を過ぎ、経済の低迷が社会不安を拡大し、それがさらに経済の低迷に拍車をかけるという悪循環に入り、状況はどんどん悪化して国全体が天下大乱の泥沼に陥ってしまう可能性がある。
その時、江沢民の愛国主義教育によってよみがえったウルトラ・ナショナリズムと毛沢東主義が合体して対外冒険的な軍国体制が共産党政権を中軸にして出来上がっていくだろうと予想する。
軍国主義化した共産党政権が対外的な暴走を始めた場合、その矛先はどこへ向かうか。それは台湾と尖閣諸島かもしれない。
台湾と尖閣諸島がともに中国軍の手に落ちれば、東シナ海はまんまと中国の内海となってしまう。海から包囲されて通商の生命線を断たれた日本は、国家と民族の存続さえ危うくなってくるだろう。
TO:田用食品さん
日本が韓国やアメリカと違う国家であるてこと、理解できますか?
北鮮が崩壊し、韓国主導の統一がなされた時、国連軍との休戦協定に署名した中華人民共和国の立場はどのようになるのか?
いまだ、中華人民共和国+&朝鮮民主主義人民共和国は、国連軍と戦争中ですよ。
このような現状を理解していますか?
興味深く拝見しました。
北朝鮮への働きかけもあらゆるチャネルを通じて、それもそれぞれのチャネル同士の思惑や利害関係の争いもあったりしながら、トップの意向ももちろんあって、そして狭い島の中ではとても想像しきれないスケールであるのでしょう。
政治家観については、思わず頬がゆるみます。
多分、日本在住の漢人の方の多くが同じように感じておられるのでは、と思います。