時系列:チベットとその周辺でいままで何が起きたか(3月23日~30日)

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■チベット族女流作家、オーセルさんのブログを翻訳、紹介したいと思います。彼女はチベット族としての立場で、中国政府の立場とは異なる観点から情報発信を続けている方ですが、時系列で各地で発生した(かもしれない状況)がよくまとめられていると思います。ちなみに、他のメディアでは彼女の名前はツェリンウォセと表記されているようですが、耳で聞くとウォーセルと聞こえます。彼女の本を翻訳している友人によれば、日本語版は「ツェリン=オーセル」の名前で出版するようなので、ここではオーセルさんと呼ばせて頂きます。

■3月23日

■中国モバイルチベット分社がラサ市民にむけて、携帯電話のショートメッセージを発信。「公安当局はここに告げる:3・14事件の犯罪容疑者は、即刻自首すれば、寛大な処置をとる。広大な市民は積極的にてがかりを提供せよ。通報電話は0891・6324422あるいは110番へ。」

   甘粛省甘南チベット族自治州の携帯ショートメッセージ「最近わが州で発生した打ち壊し略奪焼き討ち破壊活動は域内外のチベット独立勢力の計画、煽動によるもので、中央、省、州はすでにこれを打ちのめし、法に従い厳しく懲罰することを決心している。(甘南州治安維持事務所)」

     チベットテレビ局文芸チャンネルとラサテレビ局は、チベット語、漢語のバイリンガル放送で、ラサ市公安局の第7号指名手配を発表、これによりこれまでで45人のチベット族が指名手配されたことになる。うち一人は僧侶、6人が女性。3月19日に第1号指名手配が公布されてから一日平均9人が指名手配されている。

 


■3月24日

  ラサは依然、軍警が配置され、チベット族居住区は、電子カードによる住民管理が行われている。他のチベット族居住区も。連日、アムド(甘省甘南藏族自治州州府)合作市、や陝西省から軍隊がやってきて、パトロールし、チベット族の態度の良しあしを調べている。理由無く欲しいままにチベット族をなぐることも日常的だ。昨日、合作市の運転免許学校の4人のチベット族学生が、兵士に呼び止められ跪くよう命じられ、動作がのろいといって殴られた。こういった扱いが、現地のチベット族の不満と怒りを招いている。

     当局がメディア上で、民族対立を激化させ、民族の仇恨みを煽動するかのような宣伝攻勢をかけていることが中国民衆に影響を与えている。青海省西寧市では、一部タクシーがチベット族乗車拒否を行っている。

■アムド(四川省阿●チベット藏族自治州)域内では「国の恩に報いる活動をしよう。党の執政の基礎を固めよう」という標語がかかげられた。これは、チベット族が恩知らずであるという意味が含まれている。

 

    
新華社甘粛省夏河発(23日、電子版):甘粛甘南チベット族自治州政府からの情報によると、甘南105県・市の直属部門、27郷鎮および113の郷鎮所属機関、22カ村において、チベット族による抗議の衝突があった。同州の瑪曲、夏河、碌曲、卓尼、合作などの市および県を含む。この情報は、チベット族抗議事件の範囲・規模は当局情報や外国の理解をはるかに超えることを証明している。

   第8号指名手配が、チベット自治区公安当局より発表され、チベット語漢語でチベットテレビ局文芸チャンネルとラサテレビで放送された。この8人を含め、これまで53人の指名手配が発表された。52人目の指名手配犯は、報道の映像で中国国旗を燃やしていた刀を持った男で、タイからきた(華人)観光客によって、警官が扮そうしたチベット族だと指摘されていた。いまごろになって、指名手配犯として発表されるのはなぜ?テレビでは、ラサ視聴が、「主要な任務は事実を明らかにするとこ」とのべていた。

■ある情報によれば、きょう午後4時半ごろ、カム(四川省甘孜チベット族自治州)炉霍三区の哦格寺で、200人以上の尼僧らと覚日寺の200人以上のラマ僧、800人以上の農民らが平和デモを行い、「ダライ・ラマ万歳!チベットはチベット族のものだ」などとスローガンを叫び、武装警察による発砲を受けた。覚日寺の僧一人が死亡、10人以上が重傷を負った。チベット族一人が殴り殺されたという情報も。炉霍県の一区、二区、三区、四区,はすべて軍警に包囲され、電話が通じていない。

 

■3月25日

■ある情報によると、けさ、アムド(青海省海南チベット族自治州)興海県河カ郷で、100人以上のチベット族が平和デモを行い、「ダライラマ万歳!チベットに自由を」などと叫んで、警察に阻止された。デモのあと、チベット族は通りに座りこみ抗議、ラサで銃殺されたチベット族への哀悼を捧げた。軍・警察はこれを厳重にコントロールしている。

■昨日、カム(四川省甘孜チベット族自治州)炉霍県で発生したチベット族デモ鎮圧事件で、中国国営通信新華社は「四川省甘孜州で、多数の武装警察が勤務中、不法分子の暴力攻撃にあい、発表し、武装警察官一人が死亡、多くの武警が負傷した。事件は昨日午後発生、不法分子は手に刀や石ころをもって、一人の武装警察官を撲殺した。警察は威嚇発砲し、不法分子はちりぢりに逃げた」と報じた。

 

    
ラサの目撃者が海外に発信した情報によると、3月23日午前、ラサ・ラムチュ寺の僧侶(托美という名前?)が首をつって自殺した。30歳前後で、ギャンツェ出身者だった。自殺前に、寺が当局に封鎖され、軍警が寺に向かって催涙弾を投げ、僧侶が取り調べや虐待を受け続ける状況に耐えられない、と話していたという。

     私(オーセルさん)のブログが昨夜9時ごろ、何者かにパスワードを勝手に変更され、書き込みができなくなっていた。今日昼に修理が終わった。再びブログにアクセスすると、ブログ上の文章や写真が大量に消され、添付メールも出せなくなっていた。午後3時半に正常に回復。

     3月26日

     パンチェン・ラマを主とする、シガツェのタシルンポ寺で、僧侶が続々と抗議活動にではじめた。しかし軍警のコントロールが厳密になり、寺院より外出出来ない状況となり、目下の詳しい状況はわからない。10人以上のチベット族はシガツェ広場で抗議デモを行おうとしたが、数歩も歩かぬうちに全部捕まってしまった。

 

■サキャ派の主寺・サキャ寺(シガツェ地区サキャ県)でも僧侶らが抗議活動を開始。目下寺院は軍警に包囲封鎖されている。

 

    
またある情報によれば、カム(四川省甘孜藏族自治州)炉霍三区で、24日に発生した
僧侶と民衆の抗議が原因で、25日、哦格寺の90人の尼僧と覚日寺の主持である羅絨翁青(人名、読み方が分からない)、堪布羅絨克(同)と30人の僧侶が逮捕された。当局が24日に持ち去ったチベット族の遺体は、現地の鮮水河のほとりで焼かれた。これはさらなる憤怒をよび、25日に炉霍城内の寿霊寺(またの名を炉霍寺)でも百人以上の僧侶が県城(県庁所在地みたいな場所)で平和抗議デモを行った。これは軍警が武力によって追い払った。もっか、炉霍県で抗議の声を上げている寺院は、覚日寺、哦格寺、寿霊寺。

 

    
香港、台湾メディア、海外メディアを含む17社の報道機関の記者が午後ラサに到着。
このため、ラサの軍は大幅に減少、街の通りから検問台が撤去された。19日から24日まで連続して発布されていた、指名手配も発表されなかった。メディアのために用意された「和解社会」のニセのイメージだ。実際、チベット族居住区でずっと設置されていた20以上の軍のテントは撤去されず、完全武装の兵士が高度の警戒態勢をとっていた。外国メディアは、ただ中国当局が彼らに見せたいものだけを見ただけで、真相はみとることは難しいだろう。

 

■3月27日

■AP通信の報道:約30人のチベット僧侶が27日に外国メディア訪問団の前に飛び出して、「チベットには宗教の自由がない」と声高に訴えた。またチベットの精神的指導者・ダライ・ラマ14世が動乱を策動したという中国側の指摘に反駁した。3月14日からチベット騒乱が発生して以来、26日に初めて海外メディアがチベットを訪れている。このプレスツアーは国務院新聞弁公室が主催し、すべての行程に中国当局の随員が同行。台湾、香港ほか、米国のAP、カタールのアルジャジーラの記者ら20人が参加していた。外国メディアは27日午前、ジョカン寺を参観、30人の僧侶が突如、行く手をはばみ、記者に向かって「チベットには自由がない!チベットには自由がない」と叫んだ。このとき僧侶は、事件の背後でダライ・ラマが糸をひいているという中国の指摘はまったく不正確であり、ダライ・ラマと事件はなんら関係がない、と主張した。この抗議事件発生後、随員の当局者はすぐに記者を現場から引き離した。

 


■台湾メディアも報道:一郡のラマが、チベット取材の外国記者団に向かって「宗教の自由がない」と叫んだ。同時に「最近のチベットの騒乱をダライ・ラマのせいにするべきではない」と主張した。3月14日の暴動後、北京の当地に対するコントロールは厳格化し、いったんは記者の取材を禁止していたが、この日は、外国記者にラサでのジョカン寺取材をアレンジしていた。その結果約30人のラマが国際メディアに「チベットには自由がない」と叫んだのだった。

 

■ニューヨークタイムスの報道:きょうのジョカン寺の一幕は15分にわたった。「宗教の自由」のイメージを作り出すため、午後12時半ごろ、ラサ訪問外国プレスツアーは、当局の命令で行われたセラ寺の法会を取材していた。ふだん、この寺院が執り行う法会は700人の僧侶が参加。しかし、この当局がアレンジした法会の参加に、多くの僧侶が抵抗し、十数人の僧侶が参加しただけだった。実際、セラ寺は3月11日からずっと軍警に包囲され、寺のすべての仏事と教学を停止させられていたのだ。僧侶らの飲食は制限され、電話などの通信手段も切断され、一部僧侶は行方不明だ。デプン寺は3月10日からずっと軍警に包囲封鎖されている。周辺の寺院への道にも軍警が大勢配置され、寺院にむけて発砲したり、大声で叫ぶなどして僧侶を威嚇している。ある情報によると、デプン寺は百人以上の僧侶が逮捕されたり、行方不明となっている。この寺院でもすべての仏事、教学は停止させられ、僧侶の飲食も制限され、電話などの通信手段も切断されている。

 

     新華社報道(電子版):これまでにラサ市民検察院は30人にのぼるラサ3・14打ち壊し略奪焼き討ち事件の容疑者の逮捕状を発行した。ラサはすでに8号までの指名手配を発布、事件に関与した不法分子は53人にのぼり、うち4人は自首。4人は逮捕された。これまでに289人が自首しており、111人が釈放された。チベット当局者は「もっか、違法に刑事拘留された犯罪容疑者は414人で、大部分がチベット族、一部に漢族もふくまれる」という。

     最近、ラサでは欲しいままに逮捕が行われ、とくにカムとアムドのチベット族、過去にインドで学習したことのあるチベット族、および政治犯の逮捕が多い。目撃者によれば、逮捕されたチベット族はトラックに乗せられ、市街の外に出て行ったという。ある目撃者は、武装警察によって、青蔵鉄道の列車駅に一列に並ばされ、列車に乗せられたという。それらはチベット族で、僧侶が多く、ほとんどの人が靴を履いていなかったという。

     ある亡命チベット族からの情報によると、アムド地区の多くの家庭ではこの数日のあいだ、警察から、もし親戚の子供たちなどが、抗議デモ活動に参加していれば、深刻な結果が待っているので注意するようにと警告を受けた。

■甘粛、四川などのチベット族の土地で、中国共産党・政府はチベット族に対する防備を強化している。すべてのチベット族は政治審査を受けさせられ、電話は盗聴され、だれも電話では騒乱の話題はさけている。また海外からチベット族自治州にかかってくる電話も、騒乱の話題になると、回線が切断される。

 

    
チベット族居住区の抗議事件はまだ続いており、当局はチベット自治区への武力、警察力の輸送を続けている。目撃者によると、甘粛省瑪曲県では、近日、少なくとも数千におよぶ軍が大挙して入り、チベット方向に向かって進軍したという。雲南省北部のシャングリラでも、チベット境界付近で、観光客が数千の解放軍の集結を目撃している。

 

■3月28日

■きょう正午、ダライ・ラマ14世はインドのニューデリーで、国内外記者会見を行い、最近発生したチベット事件について全世界の華人に対して「中国指導者に対し、われわれの評価を見直すようよびかける。事実を求めることが今ある問題の解決である。同時に、智慧をもって、チベット族との実質的意義のある和談を希望する」と語った。
 さらにダライ・ラマは「われわれがこれほど誠実に漢族とチベット族の分離をさけるための努力をしているにもかかわらず、一部の中国指導者はわれわれに対し根拠のない譴責と批判を行っている。とくに3月10日以来、昔年の怨恨と不満の発露として、ラサを中心にチベット三区で多くの民衆の自発的平和デモ、抗議活動がおきた。なのに、中国政府はわれわれがこれら事件を挑発煽動して起したと指摘して責めるのである。これについて、われわれは、公的に信頼があり独立した調査団を組織して、この事件を徹底調査し、真相をはっきり調べあげるよう呼びかけるものである」。
 さらにダライ・ラマは「ここでわたしは、全世界の漢族同朋によびかける。あなた方がどこにいようと、われわれ両民族の間に存在する問題に関心をもち、心と力をつくして、お互いの間にある不必要なって疑いや不安、猜疑心を取り除き、和談を促し、寛容と理解を基礎にしてチベット問題の解決に貢献して欲しい」とのべた。

 

 中国共産党当局はアムド、ウ・ツァン、カムなどのチベット族の土地および中国が所有、干渉するチベット族機関において、各種の活動を展開。「ダライ集団の犯罪行為の批判討論会」などの各種会議を開いた。自身の身をまもり、出世をするために、一部の著名な「政治花瓶(政治宣伝のための飾り物の意味)」たち、たとえば?巴拉·格列朗杰、新雑・単増曲扎、珠康·土登克珠、策墨林·単増赤列、桑頂·多吉?姆ら、いわゆる活仏は、宗教指導者ダライ・ラマに対し侮辱、批判攻撃を行った。いわゆる一部の「チベット学者」ら、たとえば中国共産党統戦部旗下の中国チベット学研究センターの趙堆、拉巴平措、旦増倫珠、大丹増らも、虚飾にまみれた発言で党の喉舌の役割を果たした。チベット族自治区副主席の白赤林と、甲·洛桑丹増もテレビで、ダライ・ラマを侮辱、攻撃し、チベット族に不快嫌悪を感じさせた。

 

■しかし、75人の著名な国際チベット学者らは連名で、中国の胡錦濤国家主席に手紙を書き、チベット問題の妥当なる解決を呼びかけ、中国のチベット政策を厳粛に批判した。その手紙には、世界各国の240人近い署名がある。http://www.tibetopenletter.org/ 訳文は一番あとに

 

   
カム(四川省甘孜チベット族自治州)炉霍三区では、24日に発生した大規模な僧侶と民衆の抗議デモ以来、連日、逮捕者がでている。覚日寺では主持の羅絨翁青、堪布羅絨克と30人の僧侶が逮捕されたほか、また二人の格西(ゲシェ:チベット仏教における学位の一種)が逮捕された(名前:朗加次任、四郎玖美)。逮捕に抵抗したとき、頭を殴られ流血した。目下寺院には、数人の老僧侶しかのこっていない。炉霍県三区では200人以上(僧侶、尼僧、平民を含む)が逮捕された。当局は、挙手によるダライ・ラマ反対運動参加不参加の決断をせまる運動を展開したが、農民は服従しておらず、また新たな流血の鎮圧の可能性がありそうだ。聞くところによると、昨日、炉霍県充古郷の書記は刀で数カ所刺された。この書記は最近、地元の各家庭をまわって、ダライ・ラマを批判するように要求したところ、ある老婦人が不満を表明し、書記に罵られ殴られた。これを老婦人の息子がみかねて、書記を刀でさし、逃走したという。


  
アムド(四川省阿?藏族自治州)阿?県で、正午に完全武装の軍警察が、格徳寺に入ってきた。3~4人の公安と完全武装の武装警察が一組となって、僧舎を点検しダライ・ラマの画像などないか探し回った。僧侶は僧舎内に閉じこめられ外出を禁止された。寺院全体が軍に包囲され、軍隊は鎮圧の準備をしている。100人以上の格徳寺の僧侶が逮捕された。

     香港文匯報3月27日報道:チベット自治区の福主席、白瑪赤林は、ジョカン寺の僧侶が27日、外国メディアにチベットに自由がない、と訴えた事実をその夜の記者会見上で確認した。確かにジョカン寺の僧侶の自由は制限されているが、それはラサ3・14事件が少数の寺院の僧侶の行動を発端としており、ジョカン寺の僧侶も例外ではなく、このため、ラサでおきた事件後、公安当局の捜査のために僧侶らは外出できなくなっている、と説明。白赤林はさらに、これら僧侶が外国記者の前で事実でないことを話したと指摘し糾弾、目的はものごとの是非を転倒させ、国家世論をミスリードさせることだ、とのべた。チベット・ウォッチャーによれば、この種の言い方は、チベット当局が抗議した僧侶に対して怒り、逮捕の前触れであるという。

 
  注意すべきは、ボイスオブアメリカの記者・許波による3月27日の報道で、白赤林が「当局はすでにダライ集団が3・14事件に関連しているという手がかりを掌握しつつある。もっか裏取りをしており、結果がでれば、できるだけ速く発表する」と発言していることだ。この発言は、3月14日にチベット自治区当局者が新華社記者に答えて、「ダライ集団が組織的に、前もって準備して策動していたと証明できる十分な証拠がある」という発言内容と矛盾がある。3月14日にすでに、十分な証拠がある、といっておきながら、13日後の3月27日の発言では、まだ裏取りをしている段階といっている。

 

■3月29日

■中国のアレンジによって、15カ国の外交官が土曜日にチベットを訪れ、「事実の探求」を行った。参加したのは、英国、米国、オーストラリア、日本などの駐在大使館員17人。チベット自治区に一泊した。ラサのデモ発生以来、はじめて外国の中国駐在外交官がチベットにはいった。


   
ある情報によると、午後2時ごろ、ラサの北京中路付近(あるいはバルコル、ラムチュ寺付近)でチベット族による抗議活動はあった。往来の人はあわてて逃げ去った。東辺郵便電信ビル、青年路から西郊外の漢族居住区の商店はすべてシャッターをおろし、男女の漢族が手に鉄棒や棍棒をもって、店の前で、騒乱分子を防ぐべく待ちかまえていたという。この数日、外国メディアの来訪などにより、いったんは身をかくしていた軍警がふたたび登場、バルコル、嗄瑪貢桑居民区などを包囲した。

 

    
そのご、ラサ市公安局は、中国モバイルチベット分社を通じて、市民の携帯電話にショートメッセージを発信。「29日午後、市の司法当局が定例検査を展開したとき、移動露天商と一部の群衆がパニックをおこし、逃げ回った。目下わが市の社会秩序には異常がなく、市民は軽々しくデマを信じず、安心して生産・生活を行うよう。是非を明かにし、法を遵守し、法規をまもり、デモを流さず、デマを信じず。デマを流し人の心を惑わし、社会秩序を乱し、社会の安定を破壊する犯罪行為を行うものは厳重に摘発する(ラサ市公安局宣)。」

■事実はこのショートメッセージの語るようなものなのかどうか、目下不明だが、ラサ市民が言うには「3月15日に、水道水に毒が入っており飲まないように、という通達したのは、実は政府だった。各政府機関に電話で水道水を飲まないようにとの通知があった。公安庁であすら通知があった。しかし、テレビではこれはデマだと報じていた。だから、いったい抗議活動が発生したのか、デマなのかデマでないのか、肯定も否定もできない」

 

     3月30日


■カム(四川省甘孜チベット族自治州)炉霍
?亮郷の僧侶は、当局が現地で挙手によるダライ・ラマ反対運動への参加不参加を迫る活動に対して抗議し、当局者と衝突。数十人の僧侶がひどく殴られ、逮捕された。その夜300人の軍が?亮郷に進駐。三区の覚日寺の三人の格西はすでに釈放されたが、堪布(ケンポ:管長、宗教指導者の尊称)と一人の尼僧が康定に護送された。百人以上が炉霍県の監獄に押し込められたままだ。

 

■ある情報によれば、きのうサ郊外で、11人のチベット族の若者がつかまった。具体的に何をしたのかは不明。このことは、昨日、ラサで抗議デモがあったことの裏付けとなる。また別の情報によると、きのう正午ごろ、ラサ市内で騒ぎがおきたとき、北京中路付近で、若いチベット族がモーターバイクにのって走りすぎようとし、検問の兵士に呼び止められた。彼は狼狽したため停まらず、兵士は発砲、その若者は死亡したという。

 

■3月27日、那曲地区で20~30人の遊牧民が抗議活動を行い拘束された。このほか、アムド、カムなどの寺院が軍に包囲されたほか、おおぜいの僧侶が拘束された。アムド(四川省阿?チベット族自治州)阿?格德寺だけでも、3月29日までに500人の僧侶が拘束された。

 


■ 
香港フェニックス放送は、温家宝首相の最新の講話を報じた。「ダライ・ラマが独立の主張を放棄し、その影響力によってチベットで起きている暴力活動を停止させ、チベットと台湾が不可分の中国領土であることを認めれば、われわれは対話を復活させてもいい」。また、「われわれは、チベットが民族区の自治制度を継続し、チベットの経済発展と民生改善への指示を堅持し、憲法と法律の範囲内で群衆の宗教・信仰の自由、チベット文化の保証、チベット生態環境の保護を堅持しつづける」とも言った。
これは中国共産党指導者が、ダライ・ラマのチベットへの影響力を初めて公開の場で認めたという点で、注目に値する。

 

「時系列:チベットとその周辺でいままで何が起きたか(3月23日~30日)」への4件のフィードバック

  1. すごいエントリーですが、大丈夫でしょうか。
    その場に自分を置き換えた時、恐ろしさに顔がこわばります。

  2. 福島香織様:ご自分の意見を入れず、翻訳だけした訳ですね。
    いろいろな意見を紹介するのも貴社の役目ですから、ただし、偏っている
    田原総一朗の政財界「ここだけの話」
    チベット争乱から北京五輪まで・・・
    http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/080403_53rd/
    まず議題となったのが、餃子中毒事件だ。この件に関して、中国側から「餃子中毒の事件に対して、日本のマスメディアは始めから中国が悪いと決めつけていた。中国を叩くために餃子事件を材料にしている報道が多かった。これをどう思うか」という訴えがあった。これに対して日本側は、「確かに、日本の週刊誌やワイドショーの中には、反共的立場から餃子事件を中国をやっつける材料にしているものがあった」と認めたが、「しかし、それは日本の中ではごく1部だ。少なくとも朝日、読売、日経、毎日新聞や、テレビの報道番組ではそのような報道はしていない」と反論した。
    “少なくとも朝日、読売、日経、毎日新聞や、テレビの報道番組ではそのような報道はしていない”こんな発言をする輩が『ジャーナリスト』を自称している現状を私は憂えます。それに比べ、福島様は素晴らしい働きをされています。

  3. ぼけたアタマで書いていて、失敗しました。
    「ただし、偏っている」の後に、「意見ばかり採り上げるのはジャーナリストとしてはどうか・・と中国側に言われる可能性がありますね」を追加します。

  4. 福島様
     今晩は。雑誌クーリエ・ジャポンに中共のネット規制について記事が出ています。東京よりデータとして貰って下さい。現物だと入管で没収などリスクが有りますから。
    良い記事を期待しております。御身大切に。

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