民以何食為天 食の政治学 番外 食の安全白書覚え書き

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■中国政府がこのほど、初の食の安全白書、みたいなものをまとめて発表した。一応、17日出稿で原稿だしたのだが、遅番はボツになっていたな。ま、内容的には中国は食の安全対策がんばっています!という宣伝につきるのだが。

■覚え書きがわりに、簡単に、内容をピックアップしておくと
①全国の食品生産加工企業は44・8万社。うち中規模以上の企業は2・6万社で、市場の72%をしめている。従業員10人以下の零細企業は、35・3万社で市場の9・3%

②2006年の統計では、全国規模の食品工業企業の総生産額は21586・95億元(煙草をふくまない)で、全国工業総生産の6・8%に相当。成長率は前年同期比23・5%。07年上半期の食品工業総生産は前年同期比29・9%で、ビール、食用油、飲料、味の素系調味料の総生産量は世界上位。

③10・7万社の食品生産企業のうち、2675社で、HACCP方式を導入。

④2006年全国食品国家監督抜き打ち検査における合格率77・9%。07年上半期は85・1%。(これって高いの?)

⑤2007年上半期で全国31省・自治区・直轄市における食品品質平均合格率は89・2%。(だからこれって高いの?)

⑥2007年上半期、水産品の合格率85%、そのた食品の平均合格率90%、肉類製品の合格率97・6%。(おいおい、その水産品合格率85%って)

⑦輸出農産品の90%が、無公害、緑色(低農薬の安全性の高い農産品に付けられる称号)、有機農産品。全国で無公害農産品は28600種。5315社が緑色商品ラベルを使用(商品総量にして7200万㌧)。600社が有機食品ラベルを使用(総量にして1956万㌧)。

⑧07年上半期の農産品の残留農薬合格率93・6%(高い?)。畜産品の痩肉精汚染合格率98・8%。水産品のクロロマイセチン汚染合格率99・6%。ニトロフラン類汚染合格率91・4%。

⑨2006年、中国輸出食品2417・3万㌧(266・59億㌦)。成長率は全年同期比それぞれ13・29%、16・0%。上位10位は水産品、水産製品、野菜、缶詰、果汁・飲料、穀物製品、調味料、家禽製品、酒、畜肉など。

⑩食品輸出相手国上位10位。日本、米国、韓国、香港、ロシア、ドイツ、マレーシア、オランダ、インドネシア、英国。

⑪食品合格率はずっと99%以上!日本の厚生労働省は、2006年、日本の中国産輸入食品の抽出検査率が輸出食品全体の中で一番たかく15・7%にたっするが、合格率は中国が一番高く99・4%、次はEUからの輸入品で99・38%、その次が米国で98・69%と発表した。(つまり、米国産食品より中国産食品の方が安全といいたいわけ)

⑫2006年、中国の輸入食品は2027・3万㌧(133・96億㌦)。前年同期比7・94%(25・11%)増。植物油、水産品、穀物、砂糖、乳製品、酒、煙草、食肉、油製品、穀物製品がベスト10。(中国って、食品輸入以外とおおいんだよ)。

⑬2006年から07年上半期、7880社の食品企業を11104回抜き打ち検査。問題のあった355社をブラックリストにあげてさらし、優秀企業の240社には中国ブランドの称号、548社には「国家免検(検査免除)」の資格をあたえ、消費者にアピール。

⑭2006年食品製造拠点の抜き打ち検査で平均合格率70・4%(低い!)。07年6月末までに、5631拠点を取り締まり、8814拠点での商品生産を強制停止させ、5385拠点に改善命令を出した。

⑮07年6月末までに全国31省・自治区・直轄市で食品安全管理責任区は16030地点。監督員は25346人。06年、90万回の巡回検査を行った。(多い?少ない?)

⑯2006年、衛生省当局がレストランや学校の食堂204万余軒について、検査をおこなったところ、4・5万軒が違法営業の疑いがあり、2・5万軒について、衛生許可証無しで運営していたとして取り締まられた。

⑰2006年 品質検査検疫当局が立件した食品違法案件は4・9万件。押収されたニセ食品・悪質食品総額4・5億元。工商当局が1・6万カ所の食品市場で食品製造・販売店1040万軒を検査したところ、無許可営業が15・18万軒。4629軒について営業許可を取り消し、6・8万件をニセ食品事件として捜査、48軒を立件、1・55万㌧の不合格食品を回収。

この統計をみるに、いちおう輸出食品の製造管理はそれなりの水準だが、やはり国内の零細企業、とくに屋台もののレベルが低いことがうかがえる。ただ、食の安全問題をずっと取材しているフリージャーナリスト、周勍氏は、当局の狙いは、食の安全問題を、零細企業、屋台ものに集中させていることで、大企業の食品管理のずさんさから国民の目をそらそうとしている、と指摘しているけれどね。無公害とか緑色とか中国ブランドといった称号、HACCP導入とかいう肩書きが、本当に意味のあるものなのかどうか、私も確証はもてないな。なにせ、中国ですから。

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「民以何食為天 食の政治学 番外 食の安全白書覚え書き」への7件のフィードバック

  1. 何をどう取り繕うと、正直に価値を置かない人達とはお付き合いしたくありませんわ。
    本が出ると一段と注目されるでしょうから、身辺に気をつけてくださいまし。

  2. Chinaは「20年後には先進国入りをする」という根拠なき「幻想」を持っている日本人も少なくないようですが、
    法はあっても守られないような国家・社会では何をやっても、何を言っても無駄でしょうね。

  3. 日本の某テレビ局も「日本の大手企業や商社が輸入する製品は安全だが、中小の貿易会社や個人輸入の商品が危ない」と、まるで文革時代そのままに中国当局の受け売りの解説をしておりました。日系企業の自社工場や大手商社が輸入した製品(食品も)にも違反事例が山ほどあることはスルーです。

  4. 福島さん
    チベット取材お疲れ様でした。
    中国(人)ってやたらと数字を並べ立てて得意げに論陣を張り、あまり数字を並べ立てて議論することになれていない日本人は「ほぉ~」って感心するのですが、「で、どうなの?」って聞くと中身がなかったりすることがよくありますね。「じゃあ、なんで世界中の至る所で中国製品の問題が起きてるの?」ってことなんですけど、またまた「一部の不心得者」とか、「他の国も同じように品質管理に抜かりがある」とか言いだすんでしょうね。
    中国に行ったらやっぱりおいしい食事が楽しみなんですよね。でもこんなに騒ぎになってきたら、普通に食べてる機内食って大丈夫なのかなあ。

  5. 先日某局の番組を見てましたら、昔あったお笑いの若手に東大の美人家庭教師をつけて受験させよう!でおなじみの○○子先生のお父様(学者様)が、中国の食品問題に関したコーナーでコメントされてました。
    ・・・が!様々な中国製の食品の実際の問題に対してご説明されたのは、「食品の安全基準というものはだいぶ余裕ある範囲をもって決めておりまして、その基準を少し上回ったからと言ってすぐ身体に害があるというわけでな無く・・・」というよく見られる「スリカエ」をされていたのですが、ちょっと気になりましたのは「一般の方々はこういう専門的なことはお分かりでないのですぐ大騒ぎされるのですが・・・」のお言葉でした。
    モンゴルで中国製のインスタントラーメン食べただけで亡くなってしまった人たちや毒入り歯磨き粉で苦しんだ子供たち、中国内でもただ普通の屋台で食事しただけで気を失うほどの腹痛に見舞われたお嬢さん?などなどは「それは私の話していることとは関係無い、別の話」とかさらっと知らん振りされてしまうのでしょうね。
    「でもそんなの関係ねえ!」としらっと言える人には「オッパッピー!」と返したいです。
    (↑日本の若者で今これ知らない人ほとんどいない、と思いますが)
    *オッパピー・・・オーシャン・パシフィック・ピース

  6. 横レス失礼します。
     nakashixさん。
    >学者が、中国の食品問題に関したコーナーでコメント・・・。
    これですよ学者バカというのは。
     今話題になっているのは「中国の危険食品」だのに、中国ではない社会での一般論を述べるというピントはずれ!!
     東大の先生はわりとこのタイプは少ないはずですが、やっぱり居ましたか。美人の娘のおかげでテレビに出られてうれしかったのでしょう。
    私はその美人家庭教師と教授のたぶん美人の奥さんを見たかったなぁ。
     私のコメントも東大の教授なみで失礼しました。

  7. >>無駄話様。
    その東大名誉教授(農学)の先生は、狂牛病の際に確か政府の諮問機関の委員かをされてまして、食物にゼロリスクはありえない、米国に狂牛病の牛が何頭いるかはそれは米国の問題である、危険部位を食べても狂牛病になるリスクは2000億分の1、等々の「専門的な意見」をおっしゃっていられた方です。
    娘さんのケイ○先生は芸人の坂本ちゃんを教えたあとは、タレント業少しされて、今は関西で浪曲師になってご活躍とのことです。
    補足まで・・・

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