鄧小平秘録は中国への本命チョコ?

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 ■産経新聞中国総局長、伊藤正記者を中心とする取材班が満を持しておおくりする大型連載「鄧小平秘録」が2月14日のバレンタインデーからはじまる。この連載については、すでに社告でお知らせずみだが、中国では各方面から不安や期待がよせられ、中国紙や香港紙から伊藤記者への取材申し込みも相次いでいる。先日には、さる筋から圧力とも懇願とも言えぬ訴えが東京本社に寄せられた。「香港や台湾では、産経新聞の鄧小平秘録は温家宝首相訪日を妨害するという報道もありますよ」と。というわけで、鄧小平秘録への中国側の期待度を少しご紹介。

 ■中国側の懸念のもとになった報道というのは、RFA(自由亜洲電台)の南洲記者が1月27日東京発で報じたニュース。以下転載。

 ■中国の温家宝首相の四月訪日をひかえ、日本の産経新聞が連載「鄧小平秘録」の第一部を開始する。天安門事件のとき、鄧小平がなぜ民衆に武力鎮圧を行ったかその背景が語られる。
 

 ■1月26日の産経新聞の「社告」によれば、2月14日に開始。伊藤正中国総局長はじめ多数の記者が編集に参加する。第1部は天安門事件における鄧小平、6部にわけて描く。

 ■なぜ、この時期、産経新聞は鄧小平秘録連載を開始するのだろうか?
日本アジア大学講師の達希東日布(外国人?)はこう語った。「温家宝訪日前に記事を発表するのはちょうどいい。なぜなら、温家宝は趙紫陽と一緒に天安門に趣き、当時の学生と対面した。多くの報道が、温家宝を穏和派とし、鎮圧に反対したとしている。産経新聞は温家宝に圧力を与えようというのか?あるはい中国に天安門事件の再評価させたいと思っているのか?

 ■訪日作家で産経新聞紙上に寄稿も多い石平はこう紹介する。「何年も前のこと、産経は毛沢東に関し連載し、大人気を博した。鄧小平秘録は前連載に続くものだ。前連載は文革の内容と中国共産党政治の闘争の内幕を描いた。

 ■産経新聞と協力関係にある日中通信社の原博文社長は「鄧小平秘
録は天安門事件ではじまる。鄧小平は天安門広場の鎮圧をもって、独裁的な政治家となる。連載時期が今なのは、温家宝の来日と関係があるだろう。歴史問題の認識において、中国人と日本人は大きな違いがある」。
(転載おわり)

 ■このニュースは香港紙や台湾紙でも転電されたらしい。ちなみに、日本人チャイナ・ウォッチブログとして、人気の高い「日々是チナヲチ」でも取りあげられていた。いわく鄧小平秘録は「日本から中共政権への義理チョコ、しかも毒入り」だと。

 ■鄧小平秘録の内容については、まだ企業秘密なのでコメントしないが、個人的には日本人だけでなく、中国人にも読んでほしい連載だと思っている。伊藤記者によると、鄧小平秘録連載の目的は、鄧小平個人の足跡をたどるだけではなく、現代中国の姿をとらえなおす作業だという。

 ■中国の今をつくったのは鄧小平といって過言ではない。そして、天安門事件が今の中国に至る最後の、そして大きな分岐点だった。鄧小平という人物、その功罪、行動原理を分析することは、現代中国がどのように形づくられ、その膨張する矛盾がどこから生まれてきたかを考え、この国の行く末を予測する上で重要なヒントを与えるだろう。それは日本人にとっては隣国とよりよい付き合い方をさぐるために役立つかもしれない。

 ■だが、本当はこういった作業は、中国人記者が自国民のために行うべきなのだろう。今、中国では近現代史に関する言論はほぼ封じられており、天安門事件はおろか、反右派闘争や文革の昔ですら、真っ正面から論じることは許されない。じゃあ、言論の不自由な中国人にかわって、中国を愛してやまない産経新聞が、かわりにやりましょか、ということなのよ?「義理チョコ」なんかじゃないよ、かなり本命。ちょっと苦いかもしれないけれど。

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「鄧小平秘録は中国への本命チョコ?」への23件のフィードバック

  1. 当連載、楽しみにしています。
    “実際に人が死に、血を流す、真剣を使った、とてつもなく大仕掛けの茶番劇”だった。
    鄧小平は、絶対君主として、帝国の崩壊を防ぐため、前時代的な、しかし適切な対応をしたに過ぎない。
    最も罪深きは趙紫陽だったのではないか。 
    そして体制の宿痾は温存され、臨界爆裂の時が刻々と近づいている。
    これが、北京、上海での長期滞在を終え、帰国して数ヵ月後に発生した同事件について、多少なりとも現地の状況を知る者として、自身の中で湧出する弾圧、殺害された市民、学生へのシンパシーを排して、自分なりに到達した、私の6.4天安門事件への評価です。 

  2. 香港で10数年にわたり六四を観察し(ているつもり)、鄧小平逝去も香港の目で見てきた(つもり)の小生には、非常に楽しみな連載の開始です。
    やはり、産経は中国(含港・台)観察には欠かせませんね!
    ホンマ、香港の支連会に翻訳して寄贈したいくらいです。彼らにとっては「平反産経」かもよ…。

  3. 連載楽しみにしています。
    私は天安門事件はあまり否定するものではないと考えています。
    少なくとも中華人民の野放図な拡散は表面上抑えられていますし、汚職ははびこっていますが中央政府の号令はいまでも威力を失っていません。
    日本にとって最悪なのは、民主化された中華人民ではないでしょうか。

  4. 伊藤記者の連載期待しております。特に天安門事件に関しては当時の文書を集めたと称する書物も出版されていますが、趙紫陽側の見方でまとめられており某ヘッジファンド親分との関わり等は不明です。何故、中国では、グダンスク、ワレサが出現し得なかったのか等、解説を期待します。

  5. 福島様
    「鄧小平秘録」を楽しみにしています。「毛沢東秘録」もわくわくしながら読みました。産経新聞は柴田記者以来の中国に関して日本で最高の取材力を持っていますから。伊藤正総局長に是非頑張って欲しいと思います。
    個人的には私は鄧小平は中国の近代史では一番まともな政治家だと思います。天安門事件があったとしても、毛沢東に公然と反旗を翻し文化大革命を終了させ中国人に明るい希望を与えたのは彼ですから。
    彼がやったことは経済的には共産主義との決別です。あのままではソ連が崩壊したあと中国は経済的にも軍事的にも二流の国家だったでしょう。このまま中国で今の共産主義政治が続くかどうかは分かりませんが、彼のお陰で中国は大国の仲間入りをしたと思います。鄧小平、劉少奇、彭徳懐この3人は1949年に死ぬべきだった毛沢東を公然と批判した勇気のある政治家、軍人としてもっと評価されてもいいと思います。
    日本にとっては、もし彼がいなくて四人組の天下が続いていた方が楽だったのですが。
    中国に飼いならされた朝日や毎日と違いサンケイが書く「鄧小平秘録」は中国政府も気になるのでしょうね。

  6. To riceshowerさん
     私も一読者として、楽しみにしています。
    自分のボスをもちあげすぎるのもナンですが、伊藤正記者は現役記者の中で一番中国経験の豊富な一人と思います。鄧小平秘録は一応取材班の名前になっていますが、伊藤記者が自分の経験をもとに、分析、考察したした中国現代文明論的なものになるのでは、と想像しています。中国への嫌がらせではないですよ。愛情のつまったバレンタインチョコですって。

  7. 福島さん、
    ごぶさたしています。
    あたしの考えでは、「義理チョコ」というより、一足早めの、春節を迎える爆竹だと思いますが。たまには指を吹っ飛ばしたり眼球を直撃したりするあれです、うふふ。どうか派手にやってくださいね、期待しています。

  8. 「中国側は、特に天安門事件の報道が温首相の訪日に悪影響を及ぼさないか、懸念を表した」というが知ったことか。産経新聞の担当者は堂々と執筆して欲しい。そして産経新聞の読者を唸らせる連載企画にしてほしい。産経の愛読者と見識高い広告主(きちんと掲載された広告記事も読んでいます)がいる限り、中共の圧力に負けてはいけない。この連載はいずれ単行本化すると思うが、本連載に関する英語圏向けの情報発信は必ずやって欲しい。かんばれ。真実は眠らない。
    大国中共のごく最近の政治史を日本の一新聞社(別に蔑んでいるわけではありません)が正面から取り上げることができることはすばらしい。彼の国では、国史は中央政府の専管事項で民間がごく最近の関係者が存命しているような政治闘争を取り上げることは、権力者以外には許されないことであります。彼らの感覚からすれば日本の産経新聞はなんと不遜な振る舞いでしょうが、自国だろうと他国であろうと重大な政治事件を取り上げ、分析するのが新聞社の重大任務である。他国の政治宣伝記事を丸写ししているようなA新聞とかM新聞とかN経済新聞とか○ンダイ(バンダイではない)とは志からして違う。がんばれ産経新聞。

  9. To leslieyoshiさん
     今回の連載に使われた史料は、香港で出版されたものが多いです。香港は、やはり、まがりなりにも言論の自由がたもたれ、チャイナウォッチの拠点ですね。

  10. To ゆーこさん
    これは、中国を論じるときの永遠のテーマですね。確かに天安門がなければ、経済の改革開放は今ほどの成功を収めなかったかも。経済は開発独裁のもと、もっとも急速に発展すると思います。それに、優れた専制は愚劣な民主にまさるのもまちがいない。ですが、果たしてそれが、今の爆発寸前の矛盾の膨張も生み出している。中国は政治体制、イデオロギーの本質を考える上でも生きた教材だと思います。

  11. To ohrakusaiさん
     趙紫陽氏は、その歴史的役割の中で「英雄」になってしまいましたが、その背景には彼自身の政治闘争もありました。ちなみに、趙紫陽、鄧小平の両氏を直接知っている方におうかがいすると、趙紫陽は短気で怒りっぽく、人間的に深みがあり包容力があったのは鄧小平だったという意見も。鄧小平側から天安門をみるとまた違った写真が浮かび上がってきそうです。

  12. To mapotofuさん
     鄧小平は功罪のどちらが大きかったのでしょうか。すぐれた政治家は、非情さも必要とされるもの。連載では、人間・鄧小平の素顔にもせまってゆくことになるでしょう。

  13. To マルコおいちゃんさん
     はは、爆竹ですか。あれやったあとは、生まれ変わったように気分がすっとしますね。

  14. To asahisyougunさん
     熱いエールありがとうございます。この連載は、伊藤記者にしてみれば中国特派員人生の総括、といってもいいと思います。楽しみにしていてください。

  15. 「デン・シャオ・ピン」どれをとっても叩いて出た音のような読みですね。連載楽しみにしています。どちらかというと某ネット通販へ予約をしたいような期待です。支那共産党から言論の自由を妨害されている日本の現実を今一度曝け出すような反応が予想されますね。

  16. (まだ上にもあるよ。注;HNを変えました)
    僕は前に四人組の連載を読んだことがある。産経にはすごい書き手がいると感心したものだ。
    >連載時期が今なのは、温家宝の来日と関係があるだろう。
    で、どうなの、はっきりしてよ。これは義理チョコなの、本命チョコなの?

  17. To ブリオッシュ或いは出べその親方さん
    鄧小平の命日を意識しただけで、当初の予定では温家宝訪日はあまり考慮していませんでした。でも、ここまで期待が高まると、なんか張り切っちゃう。

  18. To nhac-toyotaさん
     こういう圧力をうけると、がぜん張り切る産経記者の性格をいまだ理解していないようです、あちらさんは。

  19. 6.4の直後、翌日、翌々日あたりだったと記憶するのですが、当時の党、政府、軍中枢にアクセス可能な香港の友人から、「趙紫陽への懲罰は重いものにはならない」との想定外の情報、そしてその確実な証左となる“ちょっとした出来事”を知らされ(実際、政治的権力こそ剥奪されたが、悠々自適の余生を送ったと言えよう)、「こんな大仕掛けの茶番が有り得るのか!? 学生、市民達は、ただナイーブに過ぎたと云うだけの罪で、戦車に轢き殺された、とでも言うのか!?」と愕然とさせられ、一人悔し涙を流したのを思い出しましたです。

  20. 鄧小平秘録を読みたいために産経新聞を明日から取ります。20数年慣れ親しんだ日経に断りの電話を入れました。私の自叙伝や瀬戸内寂聴氏の連載など未練は残るのですが地方紙も取っているので全国紙を2紙とる余裕はありません。連載が期待外れでしたら即刻日経に戻します。産経新聞をとったことどころか全く読んだことありません。その他の記事も期待して良いんでしょうか?

  21. To riceshowerさん
    64は、世界の人々にとって衝撃でした。今いちど、あのときに脳裏によぎった様々な思いをよみがえらせてほしいと、思います。それが、今の中国を理解するヒントでもあると思うのです。

  22. To basara10さん
     うわっ、ありがとうございます(小躍り)。basara10さんのような方がいらしゃること、伊藤にしっかり伝えておきます。その他の記事も期待を裏切りません(いいきり)。不満な点があれば、どしどし、お知らせください。善処します。
     産経新聞をご存じないということなので、ちょっと簡単に宣伝。
     「正論」路線とよばれる中道・保守の論調が主流をなす、オピニオン色の強い新聞です。でも、その他の論調、意見にも比較的寛容。他紙からのベテラン記者移籍が多いのは「産経は自由に書ける」という評判があるからです。
     14日からはじまる「鄧小平秘録」を執筆する伊藤正記者のほか、ソウル特派員、黒田勝弘特派員、ワシントンの古森義久特派員らはいずれも、他紙・通信社から移籍されたのち、産経新聞の看板記者となり、クオリティペーパーとしての産経を支えています。最近も、日経新聞から田村秀男記者が移籍、ドル、円、元、ユーロなどの通貨の動きから国際情勢を切るユニークな連載が不定期にあります。
     ちょっと残念なのは、「北朝鮮亡命高官・黄長燁の証言」第1部、知財権問題を考える「知はうごく」第1部などオススメ企画がおわったばかりなこと。第2部開始までちょっと時間があります。
     国際報道では、中国、北朝鮮報道に伝統と特色があります。北朝鮮の拉致問題を最初に世に問うたのは、産経新聞でした。また、中国報道では文革中、柴田穂記者がその実体が権力闘争であると真実の報道したために、1998年まで31年間におよび、産経新聞は中国入国を禁止されていたという過去もあります。で、産経は中国から嫌われている、との噂もありますが、産経新聞ネットサイトは日本の新聞サイトの中では中国からもっともアクセスの多い新聞でもあります。

  23. 「鄧小平秘録」がいよいよ始まりました。Webでも読めるようにしてくれたことを歓迎します。高給取りのA紙に対抗するには、ネットの力を借りるというのもよいかと思います。

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