我需要安慰的人 北京でホストが増えているわけ

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 ■きのうの地元夕刊紙によりますと、北京警察当局が四月下旬、初めてホストクラブをターゲットにガサ入れを行いました。98人のホストを拘束、うち1人はストリップの真っ最中だったそうです。

  このニュースを読んだ上司(つまり中国総局長)は「福島が現場にいなくてよかった…」とポツリ。

 なんで、そこで私の名がでてくるんでしょう!そりゃホストクラブに行ったことないとはいわないですが、それはあくまで、中国の女性問題を知る上の取材。個人的には金銭を介在せねば成り立たぬ男女関係になんの魅力も感じません。誤解なきように。

 ■ただ、ホストにむらがる女性が中国でも確かに増えているのは事実です。なにせ公安当局のターゲットになるくらいです。いったいなぜ? というわけで、きょうはホストがテーマです。
 

 北京晩報(6日付)のガサ入れ記事を引用しつつ北京のホストクラブがどんなものか説明いたしましょう。
 ガサ入れがあったのは場所は朝陽区の大正新時代歌舞庁。「動くな!警察だ」と現場に踏み込んだ警官たちが目の当たりにしたのは、紫煙がたちこめるほのぐらい個室の中、ソファに絡み合って座る男女のカップル、テーブルの上で皮パンツ以外何も身に付けずに踊る男性の姿でした。この歌舞庁、全部で20室の個室があり、チャージは100元だそうです。
 拘束された98人のホストは、東北など地方出身者で、年齢は20~22歳、長身でハンサムばかり。ただストリップをしていた男性(22歳)は四川省出身で、背が低く顔だちも一般的。ルックスで勝てない男性は、芸でチップを稼がねばならないという事情がかいま見えます。彼は一回踊るだけで三百元のチップを稼いだ人気者だったとか。

 ■こんなホストクラブは私の知るだけで北京に2、3軒ほどあります。このほか、「身長180センチのハンサムがうかがいます」といったホスト宅配のショートメールも来ることがあります。吉林省の新聞で、1日100元で、デートや食事の相手をするというパートタイムボーイフレンドの広告が出て、すごい人気だという報道もありました。どうしてこんなにホスト(男性の水商売)が、さかんになってきたのでしょうか。中国女性が社会進出してきたから?社会的地位が向上し、男女対等になったから?

 ■違うでしょう。客は一般におしゃれな美人が多いそうですが、実はほとんどが売春女性、ホステスなのです。
 ある売春女性に、なぜ、ホストにはまるのかと聞いたことがあります。売春しておれば男性が向こうからよってくる。なのにこちらから金を払ってつきあうのは不思議だ、と。
 すると彼女はいいます。「我需要安慰的人」(慰めてくれる人が必要なの)。彼女によれば、売春は孤独な仕事。親にも打ち明けられない、ばれて恋人にも振られた人もいる。好まぬ人に身を任せるのは屈辱的であり、心身ともにへとへとになるまで働いても、誰にもがんばったね、と肯定してもらえない。
 たとえ売春で稼いだ金で、故郷に立派な家を建てたとしても、そこにすむのは弟夫婦で、彼女の部屋すらない。私は夜更けのカラオケスナックの女性トイレで、顔の深いシワを原色の厚化粧で隠した女性たちが個室のドアを開けたまま用を足しつつ、けだるい声で同僚にそんな身の上話をしているのを、手を洗いながら立ち聞きしたことが一度ならずあります。
 

 ■売春を含む水商売は、農村出身女性にとってもっとも効率よく高額の現金を稼ぐ方法ですが、大金を稼いだからといって必ずしも誇りに思えない仕事なのです。こんな話をすると在北京の日本人男性駐在員らは否定します。「今の若い子はもっとあけらかんとしているよ」「贅沢したいために女子大生でも売春する」などといいます。おそらく日本人男性を相手にする高級店の女性はそうなのでしょう。しかし、江蘇省公安当局が「六月から生活に困窮して売春する女性は初犯に限りに情状酌量する」と独自に発表した例などからも察せられるように、圧倒的多数にとっては貧しさから抜け出るための手段なのです。

 ■ホストの話をするつもりが、売春女性の話になってしまいましたが、結局、ホストクラブの台頭は、売春女性がそれだけ増え、孤独でストレスを抱える女性が増えたことが一番の要因だと、私は思うのです。日本のホストクラブには行ったことがないので比較できませんが、その背景には、姉や妹に売春をさせても、長男には家を建て、嫁をもらってやろうと考えるような農村の男尊女卑思想もあるのではないでしょうか。

 ■中国で、体を売るホストは隠語で「鴨」と呼びます。売春婦は「鶏」。聞くところによると北京の「鴨」は一晩、1500元から2000元、これは「鶏」より二割ほど高めです。まったく、こんなところまで、男尊女卑なのです。


  


  


  


  

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「我需要安慰的人 北京でホストが増えているわけ」への5件のフィードバック

  1. 日本では春を売る少年のことを「鶏」と呼んだと思います。
    何故逆なのでしょうね。

  2. bobbobさま:そうなんですか。そういえば、英語圏でもチキンとかいったような?ちなみに、最近は鴨子は下品なので、シャオイエ(少爺、おぼっちゃん)とよびます。売春婦やホステスを小姐と呼ぶ感覚で。

  3. 香織様
    どこの国でも売春を仕事としている女性の暗さは残念ながら否定できませんね。それを求める男も淋しいが、女性の立場はもっときびしい。お隣の国の現実はまだまだそうなのかと思います。2008年の北京五輪のときにはどうなっているでしょうね。大変と思いますが、引き続き取材よろしくお願いします。

  4. >上司(つまり中国総局長)は「福島が現場にいなくてよかった…」とポツリ。
    もしいたら、いっしょにタイーホだったってこと? セーフ。 
    これに懲りずに又のご来店をお待ちしております。(ホスト一同)

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