仁義なき、中南海

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 ■きょうは何の日?中秋の名月?いえいえ、30年前のこの日、10月6日、文化大革命の四人組逮捕の日ですがな。で、なんか書かねばと思ったのだが、中国国内ではほとんど無視されている過去のお話より今げんざい中国で進行している政変の方に目がいってしまう。というわけで、今日は2度目のエントリー、上海汚職事件をおさらいするのだ。いいのだ、ブログは書くネタの思いついたときにすばやく更新すべし。(滞ることも多いから)。
 

 ■ヤツもワルよのぉ
 引導を渡したのは曽慶紅?
 仁義なき戦いを中秋の名月が照らすよ

 ■さて、香港報道などを見渡すと上海政変の内幕がだいたい明るみになったようだ。つまり、黒幕は江沢民の懐刀こと曽慶紅(序列5)で、彼が同じく江沢民にかわいがられていた黄菊(序列6)、賈慶林(序列4)排除という目的、つまり「上海組」乗っ取りのため、胡錦濤の権力固めに一枚かんだ、というのだ。曽慶紅といえば、楊尚昆・元国家主席をつぶし、陳希同事件のシナリオをかくなど、政敵を陥れるような汚い仕事をもっぱら請け負い、江沢民の権力基盤強化に一役買った陰謀家。彼が、こんど胡錦濤のために汚い仕事を引き受けた?
きっと、次ぎの人事で周永康(公安相で曽慶紅の女婿)が政治局常務委入りすることなどが条件かな(妄想)。とすると、上海組江沢民閥は解体したが、太子党曽慶紅閥が生まれるのかな(妄想)?

 ■香港誌・争鳴が、陳良宇前上海市委書記解任の内幕をこんな風に報じている。
 中央規律検査委員会が陳氏の親族が百億元にのぼる不正経済活動を行った証拠を示した9月23日午後、中共指導部が江沢民にその事実を報告したとき、江沢民は何も言わなかったという。その夜、政治局常務委員9人が、陳氏の処分をめぐって投票を行い、六票が罷免賛成、三票が棄権。この棄権票は黄菊、賈慶林、李長春(序列8)だった。同じ上海閥でも、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(序列2)と曽慶紅・副主席は賛成票を投じたのだった。

 ■その翌日、曽慶紅が政治局を代表して陳氏の処分決定を宣言したという。で25日、新華社が報道したのだった。しかし李長春が27日、中央宣伝部を通じて、派手に報道するなと各メディアに通達。同誌よると、これか江沢民派閥の最後の抵抗だったらしい。陳氏解任報道は、胡錦濤の功績をたたえるようなものだからだ。

 ■さらに、陳氏が罷免された翌日の26日、胡錦濤は中山服を着込み、取り巻きの軍幹部、司令官を引き連れ、軍事装備会議に出席し、江沢民閥との闘争に勝利したことを誇示。中国共産党中央および中央軍事委員会は大軍区、集団区の大幅な人事異動(116号命令)を出した。これは1996年以来の軍の一大人員入れ替えで、胡錦濤の軍掌握を決定的にした。

 ■現在、31省・自治区、直轄市中、19地域のトップに胡錦濤派閥(団派)が埋め込まれている。上海市(韓正書記)▽江蘇省(李源潮書記)▽広東省(黄華華省長、書記は上海閥に近い張徳江)▽湖南省(周強代理省長、こないだ青共団中央書記から転出したばかり)▽青海省(宋秀岩省長)▽遼寧省(李克強書記)などなど。
 ちなみに胡錦濤派閥でないのは、北京、天津、吉林、浙江、江西、山東、湖北、山東、海南、貴州、雲南、陝西、甘粛の12地域。来年上半期までにこの勢力図がどのくらい塗り替えられるかが、注目される。(以上争鳴より)

 ■私は別の事情通から、江沢民氏に陳氏を切るように説得したのは曽慶紅その人だ、と聞いたことがある。裏はとれないが、曽氏なら江沢民の汚職の証拠もばっちり握っているし、ノーとはいえない。年老い、力を失った組長の黄昏れた肩をぽんぽんと叩きながら、引退の誓文に血判を押させる若頭?「この恩知らずめ、あれほどかわいがってやったのに」と江沢民が歯ぎしりしたかどうかはしらないが、ヤクザ映画のワンシーンみたいである。

 ■あの文革が毛沢東の劉少奇け落としを目的とした政治闘争にはじまり、毛沢東跡目相続抗争の四人組逮捕に終わったことはご承知のとおり。中国はつねに政治闘争が時代を動かしてきたのだ。この上海汚職事件だって、中国の時代を塗り替え、未来を換えていくのだと思うと、感慨深い。しかし、とりあえず上海閥は解体したとしても、曽慶紅が、このままおとなしく胡錦濤の右腕の地位で甘んじるのか。「仁義なき戦い」に限らず、ヤクザ映画はかならず、続編があるものなので、なんか期待してしまう。

 ■というわけで、裏切りと欲望うずまく中南海を、すがすがしい名月が照らし出す、北京の秋。なんか、急に上海がにたべたくなったのである。(意味不明)

「仁義なき、中南海」への14件のフィードバック

  1. こんばんわ、
    秋の夜長に、読むには最適。
    しかし、権力争いとはかくも精力の要るものかと
    もっとも、上の人間は、将棋でもさしてる気分で
    手駒を動かしているのか、でも客観視すると、
    なんとなく不毛の争いにも観えて来る。
    でもこれが、中国の中国たる所以なのか。
    中国近代化の生みの苦しみ、激動期。
    こういう人達と日本は付き合っていかなければ
    いけないのですか安部さんでは重荷だな、
    吉田茂か、田中角栄を、あの世から呼んで来るか
    でも麻生さんは、結構とぼけて交渉上手みたいです。
    それにしても、重い。
    香織様、すいませんが、日本の俳優に
    置き換えてください、江沢民>金子信夫とか、
    とても親しみやすく読めると思います。クスッ

  2. 山口組五代目渡辺組長が、昨年、側近が組本部の金を流用した事を司六代目(当時若頭)に追求され、引退を余儀なくされた事件を連想させますね。  五代目は出身母体の山健組を過度に重用、シノギを独占、その狭量ぶりゆえに、人望、求心力を失って行ったのだとか。(reported by 溝口敦氏)
    江沢民はホント人望無かったですもんね。 私の場合、北京に友人が多いのですが、現役中から皆ボロクソ言ってた。 江沢民派といっても、結局は同氏が構築した“レジームを死守したい”派で、江氏に惚れ、忠誠を誓うっていう連中じゃなかった。 哀れなり、自業自得なり。
    曽氏は自民党の親中派議員と強いパイプを有するとされますよね。 江一派の反日一辺倒のスタンスに危機感を抱いていたのかも知れないなぁ。 

  3. 福島様
    今、日本では中国からの食品輸入は危険だ、実は毒性の食品を日本人に食べさせて…。という陰謀話まで出ています。
    しかし、福島レポートに接しますと、毒を食べても生きていける自信になります(笑)。

  4. travanti さま:複数の事情通の方から曽慶紅の女婿と教えていただいて、そう信じ込んでいたのですが、江沢民の外甥の女婿(いずれにしても、年齢が離れすぎのような気も?)、という説もあるそうですね。で、いまもう一度きいたら、「え~、みんな曽慶紅の女婿っていっているよ」って、あなた、けっこういい加減。このブログで書くことは、けっこう妄想プラス思いこみが多いので、ご注意ください。(ご指摘ありがとうございました)。ただ、周永康は、江沢民、曽慶紅と石油閥の絆でがっちり「兄弟関係」(いわゆるションディ!の関係)といわれてました。ちなみに、周永康は、公安相で武装警察(軍の下部組織)の第一書記で、その底力(しかも武闘派?)はあなどれないような気がすみます。もと江沢民派でも、時機をみて曽慶紅に乗り換える、クールなタイプにみますね。

  5. kokuさま:よんでくださってありがとうございます。妄想入りですから、床屋談義風に読んでくださいね。

  6. benkeiさま:江沢民>金子信夫、笑えます。中南海のめんめんって、みんななんてヤクザ顔!

  7. riceshower さま:おやまの大将、という感じでしたね。で、汚い仕事はみんな曽慶紅にさせた、というイメージ。でも油断ならないのは、曽慶紅の方ではないでしょうか。なぜなら、曽慶紅にあった人は、みな彼の印象を良くいうのです。やっていることみると、「いい人」なはずないと思うのですが。

  8. kikuti-zinn さま:幼少のころから少量の毒を摂取しつづけ耐性をつける、という忍者修行と同じで、中国人は小さい頃から、農薬だの化学肥料だの食品添加物だの陰謀などにならされていて、ちょっとやそっとの毒やばい菌や裏切りは平気なんです。

  9. いやはや、出演者が生き残って自伝でも書いたら、そこらのヤクザ映画の脚本など消し飛ぶような現実が知らされるのでしょうね。出版業界は是非とも彼らと接触して、「izaというときは亡命して自伝をウチの社から出版させて下さい」とコネを作っておくべきですね。
    当事者直筆ですからこれはもう・・・。問題は書ける人=権力者が生き残れるかでしょうけれど。

  10. こんばんは。
    記事とは無関係ですが、上海で手持ちのマイルドセブンが切れた時、とりあえずコンビニで読める漢字の煙草を指差して「チューナンカイ」と言ったところ、居合わせた客が全員で「テュウ↓ナン↑ハイ↓」(正確には失念)と、発音を直してくれたことを懐かしく思い出しました。
    それとともに彼らなりの自尊心と、彼らの言語を勝手に読む日本人への不快感を感じ取ったりして。
    スミマセン。単なるファンレターです。
    いつも新聞の記事を楽しみにしております。

  11. nhac-toyota さま:陳希同事件も、ホンになったので、きっとこれもいつか小説家されることでしょう。できれば、当事者に書いてほしいのですが、当事者はおりの中なので。

  12. ねばだ さま:読んでくださってありがとうございます。中国で一番ポピュラーなたばこというイメージがします。毛沢東はヘビースモーカーでしたが、中国ではたばこは、なんとなく権力のイメージがあります。わいろにも、たばこはよくつかわれるので。

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