■ほんとっにごぶさたしています。少々ひきこもりぎみですが、元気にやっています。山手線の外に引っ越ししました。で、新しい巣作りにかまけているうちに、あれよあれよと日々が過ぎ。しかし巣作りしても卵を産む予定はありません。
■私なりに一段落ついたので、このブログも中国ネタで本格的に再始動していきたいと思います。
■為政者ですら自国の経済がわからない?
“被統計”の中国市場は相変わらず鉄火場だ!
■さて、記者時代にやってみたくて出来なかったことで、これからやるつもりなのが、中国株だ。というのも、身銭をきって中国経済にかかわらないと、やっぱりその動向に敏感になれない、というのが一点。私の周りの中国人があまりに株をやっている人が多くて、自分もやっていないと話題がついていけないというのがもう一点。友人の元記者の女性起業家(日本人)は中国株で起業資金をつくったそうで、ひょっとすると、儲かる場合もあるらしい?で、先日、某証券にいる古い友人に相談したところ、じゃあ、担当者つけてあげるよ、などといってくれたので、ちかぢか私もトレーダーデビュー、かなあ?
■というわけで、身銭をきって中国経済に飛び込む前に、中国経済に対する整理をやっておこう。
■先月に2009年の経済統計が発表された。昨年のGDP成長率は前年比8・7%。その総額は49090億ドルだそうで、日本に肉薄し、2010年には世界2位に踊りでることは確実、といわれている。しかも、クレジット・デフォルト・スワップの日本国債に対する保証料率が年初に中国を上回るようになった、つまり債務不履行に備えた保険料が日本国債の方が高い=日本国債の方が信用度が低い、ということで、いよいよ今年、日本経済は中国経済の後塵を拝すことになった、と多くの専門家が思ってらっしゃるようだ。で、中国経済が日本を買いたたく!といった論調の記事も、見かけるようになった。
■そういう中で、いや中国経済は前途多難だ、あぶない、などと言おうものなら、こいつはアジア経済をぜんぜんわかっていない!と批判にあってしまう。
■で、気がついたのだ、今一番中国経済に対し厳しい評価をしているのは、中国人自身なのだ。GDP発表後に発表された中国人学者らの論評を、ちょっとのぞいてみよう。
■まず、産経新聞の石平さんのコラムでも紹介されていた在野の人気評論家、牛刀氏の「GDPが日本を超えるのが、なにか?」と題された論評。
■、引用開始
「GDPは中国庶民にとって魔法の呪文となった。しかし、外国メディアがいかにウソをここうが、GDPにこだわる必要はない」
「誰もが知っているように、中国のGDPは3年連続で重大な誤差が生じている。地方と中央の統計の誤差だけでなく、中央統計そのものにも誤差がある。年間を通しての誤差は3兆を超えているだろう。そんななんの信用もないGDPが日本を超えたとて、どんな意味があるのか」
■「(中国のGDPは)官僚の出世の指標でしかなく、大量の偽GDPを生みださざるをえない状況で、これをデータとして使うなんて、荒唐無稽どころか恥知らずだろう。」
「さらに悪辣なのは、この指標を完遂するために、そして抜擢や重用を得るのに便利だからと、人民の利益を好き勝手に脅かし、暴力で強制立ち退きさせ、古い町を改造するやり方でいたるところに建築物をつくる、それで高めたGDPだ」
■「中国のマクロ経済はすでに破たんしており、消費と輸出は重大調整局面にはいり、ただ貨幣を乱発することで投資を増やしているだけだ」「(都市部の平均収入はやや上がっているが、為替価値の要素などを考慮すると)実際の購買能力は27%減少している」「中国に前途があるとしたら、徹底して投機目的の不動産売買をやめさせることであり、全国民を投機に走らせ基本的良知を失わせることではない」(引用おわり)
■この牛刀氏ははっきりと「GDPは外国の投機商と恥知らずな政客がさわいでいるだけ。彼らの事情でいっていることなのだ」と断言している。
■次は新華社ネットが掲載した評論家、李北陵氏の論評。
■引用開始
「中国GDP世界第二位を誇張していう必要はまったくない。」
「中国人の一人当たりGDPはたったの3700ドルで、世界で100番目以降に位置しており、平均4万ドルの日本と比べてもまだまだ差は大きい。国が富んでも民は貧しく、今後はもっと問題解決への努力が必要だ。強国富民の日本と比べて、中国は前向きに努力し、ほらを吹かずにもっと実行すべきである」
「(経済は国力のひとつであるが)科学、軍事、ソフトパワーももちろん総合国力のうちだ。そのいずれをとっても中国はまだ日本に一定の距離がある。」「日本は1000グラムのオイルで10・5ドルと等額の価値を生む。これは中国の7~10倍である」「中国はまだまだ困難と挑戦の多い発展途上国である」(以上)
■李氏の論評は日本通でしられる元外交官、唐家センさんの発言を引用しているのだが、だいたい日本通とよばれる中国人は、「中国が日本を超えたなんて、とんでもない、そりゃちょっとは差が縮まったかもしれないけれど」というレベルの感想しかもっていない。もちろん、謙遜や日本に対する慰めではない。中国人はあまり謙遜をしない人たちなのだ。
■中国では最近、国の発展というのは、GDPの大きさじゃなくて国力なんだ、という表現をこのんで使う。中国はGDPが大きくても、国力はまだまだ低い、と思っているのだ。社会科学院が昨年末にだした「国際情勢イエローブック」によれば、国力総合力では米、日、独が世界のトップスリーで、中国は第7位としている。この場合、国力とは領土・自然資源、人口、経済、軍事、科学技術の五要素による、社会発展、持続性、安全・国内政治および国際貢献の四分野に対する影響を含めて評価したもので、ベストテンは米日独加仏露中英印でイタリアとブラジルが同点10位。
■ちなみに米国は軍事、経済、科技でトップ(くさってもタイですのよ)。日本は領土資源、人口で当然低く、軍事の順位もうしろのほうだが、軍事についてはわざわざ特別表記していて、「総量としての評価は後ろの方になるが、典型的な少数精鋭軍であり、実質の順位はもっと前になるはず」としている。ちなみに軍事の2位は中国となっているが、性能や質ではなく、単純に兵士の数と武器の量で順番を付けているふしがある。中国は人口で一位、ロシアは領土資源で一位。
■最近聞いた話では、ある中国官僚が、中国で長らく仕事をしてきた日本の財界人にこんなことをいったそうだ。「国力とは、軍事、経済、人口、文化、交渉力の五つの要素からなりますが、中国は軍事と経済でまだまだおよばない」。国際社会であれほど、軍事費増大がさわがれ、中国経済がもてはやされていながら、これが中国人の本音の自己評価だと思う。
■話がずれたが、なぜ中国経済が国際社会でもてはやされているのに、中国人自身が危機感をもっているかを、もう一回整理すると、ひとつには統計数字のいい加減さを肌で感じているからだ。
■作年、中国ではやった言葉に「被統計」というのがある。「被(~される)」というのは最近の中国でよく使われる流行語で「被河蟹(被和諧)」「被自殺」なんて言葉が以前はやった。いうまでもなく、被和諧(和諧される)とは胡錦濤政権のスローガンである和諧社会(調和しのとれた社会)を本当は実現していないのに、実現していることにされる、という意味で、ネット上の反動的言論を削除されたりすることを指す。和諧を発音の同じ河蟹に言い換えているのは、一種のネット隠語、つまり「被和諧」の書きこみ自体を削除されないように表現を隠すためだ。同じように、政治的警察的圧力で無辜の市民が自殺に追い込まれたり、あるいは他殺なのに自殺だと報告された社会事件などについて「被自殺了」(自殺させられた)と表現したりする。
■「被統計」というのは、統計させられる、つまり政府目標数値にあわせて統計をねつ造されるという意味だ。中国の統計がいいかげんというかでたらめ、というのは今に始まったことではないが、昨年はその事実を公的な場で批判する学者が多く、「被統計」問題が突出した一年でもあった。
■たとえば、国家統計局が「昨年上半期の都市部の平均サラリー増加率が前期比12・9%増、農村部で8・1%」と発表したら、「そんなわけあるか!」と非難が殺到。あとで「実は国営企業と外資企業の給料を平均しただけの数字です」といいわけした事件があり、これについてネット上では統計局によって「被統計」「被増長」(統計させられた)(成長させられた)と批判の声があふれた。
■その前には国家統計局が発表した経済統計で、消費電力量がむしろ減少しているのに、工業生産が急激に増加しているのは整合性がないという指摘が社会科学院の学者も含めた各方面から起きた。たとえば五月の全国の発電量増加率は前年同期比-3・5%、なのに工業生産成長率は8・9%。「世界中、どこをさがしても電力消費と工業生産の増加幅に10ポイント以上の差がある、こんな統計ありえない」(社会科学院経済研究所の袁鋼研究員)というわけだ。
■で、その批判をうけて下半期に急に電力消費が伸びたりして、普通のバランスに調整しなおしたりするのだ。こんな調子で就職率や内需、自動車販売数、環境データなども、政府目標や世論のために作られているとすれば、そのデータを真剣に分析して中国経済を論じている世の経済学者やアナリストの見立てはどのくらい信用できるのか。
■先日、ながらく日中の政治・経済関係の最前線で働いていたとある人物がこんなことをおっしゃっていた。「日経新聞は罪深い。中国経済の未来がさも薔薇色であるかのように、ミスリードしている」「あの国は為政者ですら、自国の経済実態をつかめていないのだ」「「リーマンショックの前から中国経済は事実上破たん寸前だった。リーマンショックで世界がきゅうに悪くなったため、中国は結果的にめだたなくなった」
■確かに、リーマンショック以前、中国は過剰流動性の問題が限界ぎりぎりで、温家宝首相は本当に余裕のない表情をしていた。それがとりあえず、リーマンショックで延命した感はあるが、中国の経済構造が根本的に改善されたかというと、そうではない。いずれ、過剰流動の問題、バブルの問題は表面化してくるだろう。
■しかし、こうもおっしゃっていた。「市場に金をジャブジャブ流しているのだから、今いけば、儲かるのはあたりまえ。中国経済の未来が明るいかどうかというのと、中国にビジネスチャンスがあるかどうか、というのは別問題」という。
■付け加えておくが、中国はおそらく市場に流れているマネーの量を正確に把握しているのかどうかは疑わしい。精巧な偽札が流通紙幣全体の2割を占めるといわれているうえ、中国の裏経済を支えている銭庄といわれるヤミ金は、正規の銀行より資金力があるといわれている。中国の緩和政策も引き締め政策も、きっちりしたデータを根拠に行っているというよりは、なんというか野性のカンに頼っているっぽい。
■経済が持続的に安定して発展していることと、その市場でもうけられるかはまったく別の次元のことである。前述の中国通は「経済の混乱した国共内戦時代だって、儲ける企業はぼろ儲けしていた」という。ようするに、国が不安定になり、規制がザル化した国の方が、荒稼ぎに適している、ともいえる。
■やはり中国に通じたある企業家はこう言った。「政府や党との人脈を重視する人が多いけれど、うちは政府や党内の役職ではなくて、ファミリー(華僑の一族)との関係の方を重視します。彼らは政府が転覆しても金儲けをできるだけのネットワークを築いているので、彼らとの信頼関係ができていれば、中国がどうなろうと、ビジネスはできる」。
■というわけで中国はまさしく鉄火場のような、腕と勘をたよりに生き抜くか、かもにされて骨をしゃぶられるか、の世界のようだ。もちろん、見た目はだんだんソフィスティケートされてきたけど
■そんな中国経済が、国際社会からものすごく期待され評価されているのは、牛刀氏が指摘しているように「恥知らずな政客と外国の投機商が自分たちの事情で」やっているだけなのだろう。中国経済はすばらしい!みんなこっちへおいで、と手招いているが、それはハゲタカがカモを呼び込む甘いセールストークかもしれない。
■中国は持続的安定的に発展の道を進んでいるというよりは、波乱含みの鉄火場の様相である。しかし、世界中の経済がおちこんで、今までのやり方でまじめに働いても金にならん、と思ったら、中国市場で一発あてるぜ、というのも正しい選択の一つなのだろう。ただ、負けがこんできたとき、チャカを持ち出すヤツがいそうなのが、こわいよね。(胴元が持ち出す場合もあるが)。
To 福島さん
新しいお仕事に携わっておられるようですがお元気そうでなによりです。
>中国では最近、国の発展というのは、GDPの大きさじゃなくて国力なんだ、という表現をこのんで使う。中国はGDPが大きくても、国力はまだまだ低い、と思っているのだ。
向こうの定義する「国力」とは「国際支配力」のこととほぼ同義ととらえてよいですか?
>「被統計」
役人とサバイバルとメンツとデコレーション・・・と「役者」はそろっていますもんね。
<以下想像的たとえ話>
中枢機関の幹部)人民一人一人に私が持っているのと同じラジオを持たせろ
各省幹部)ハハーッ
OO省幹部)ちゃんと全員が持っているか報告せよ!
各市長)ハハーッ
市長)最低1人1個は持たせよ・優秀な区には褒美をやる
その下の幹部)ハハーッ
・・・・・
A幹部から報告)うちの地域は1人2個持たせました!
B幹部から報告)うちは1人3個です!
各市長から省幹部に報告)C市はノルマの3倍達成!D市はノルマの5倍達成!
各省幹部からの報告をまとめた幹部が中枢機関に報告)
目標の3倍を達成しましたっ!
・・・・・
公式発表)中華人民共和国はそのラジオを40億台普及させた。
うらばなし)実際の生産数は1億台。
こんにちはぁ。
お元気そうで何よりw
金融商品に関しては、一般投資家を呼び込もうと必死になっているときは、既にネタを仕入れて売り逃げする機会を証券会社や投資銀行が狙っている証拠ですw まぁ株価等のピークは1-2年のズレはあるので儲かるかも知れませんけどねぇ。
あと統計に関しては、例えば自動車販売台数。これ前年度の各社の製造数と工場の稼働状況や新工場の設立などの設備投資の状況を確認すると、今年の販売台数がどう現場の生産性が上がったとしても水増ししているとしか見えないんですね。
結構、統計数字って通年で比較し、他の連動性のある投資指標も併せて比較すると、あっさりおかしな所が見つかります。日本政府でも一部変な統計ありましたしね・・・企業会計なんかも同じです。
ありのままの中国は、ありのままに見つめている人のご意見を伺うに如くは無い、と思っています。期待していますよw
香織師匠
twitterだけではなく、たまにはこっちでもハジけて下さいね♪
> 「日経新聞は罪深い。中国経済の未来がさも薔薇色であるかのように、ミスリードしている」
NHKもそういう気配だなぁ…まあ、都市部の国民だけで日本並みの人口になるわけだから魅力的ではあるのでしょうが、儲けた金を日本に還流させる術があるのかどうか…ドルペッグ制見直しの話はどうなったんだろう?
> 身銭をきって中国経済にかかわらないと、やっぱりその動向に敏感になれない…
ごもっとも。 でも、捨て金のつもりでやらないとしんどいですよ?。 中国経済の進展?と個人の運用実績は別物なんですから…と老婆心♪
それより…
> 新しい巣作りにかまけて…
しかもtwitterではレシピの話題…と、何だか春めいてますね…(笑)
でも、シチューの出汁なんてトマトジュースとマギーブイヨンでそこそこ喰えまっせ? 永い事作ってないけど…♪
中国株を始めるのですか?
売りから入るのであれば別ですが、中国株は売りから入れませんしそもそも初心者が売りをやるのはお勧めできません。時期的には極めて良くないと思います。バブルの行方を見る必要があります。この2年間での底である上海総合指数1700割れも十分あると思っています。そこら近辺から始めることをお勧めします。
たしかに、これから、さがりますよね。まあ、ぶなんなものを、ちょっともっておこうかな、と。
To 一閑さん
これからは、せのびせず、市販のルーをつかうことにします。
To lenyさん
自動車販売数は、台数だけでなく、売上総額とかも考慮すべきですね。あんまり、数字はうのみにしない方がいいと思います。
To nihonhanihonさん
国際支配力、このツーペイリーという言葉、最近よくききますね。COP15などの会議で、見せた強気、あるいは傲慢な態度は、まさしく国際支配力を意識した結果だとおもわれます。、
以前に読んだ経済系の雑誌特集に「中国人はうそつきである。」という記事があり、本来中国人にとって嘘をつくのは恥でもなんでもない、騙されるほうが悪いと中国人自身は思っている。だから、それを前提にして、お付き合いをすることが肝心で、相手もこちらを見ているので、信用される(簡単に騙されないと思われること)ようにならなければいけないし、相手の言動を良くチェックして付き合うことが肝要というようなことでした。
ヨーロッパでも泥棒は芸術だというような考えもあり、大陸では嘘は一つの技術とみているのではないかなあと思います。まあ、日本人があまりにも能天気すぎるということなのでしょうか?お嬢の投資はいかなることにあいなりますやら、大火傷をしない程度に頑張ってください。起業も夢ではありません、(^_^)v