■みなさん、こんばんは。今日は中国の月探査衛星「嫦娥1号」が発射される日。中国が長年夢にみた月への旅立ち。18時06分(北京時間)、西昌衛星発射センター(四川省)よりいよいよ発射されます。今回は趣向をこらして、新浪など中国ポータルサイトのむこうをはって、テレビをみながら、中継してみたいと思います。挫折したらごめん。
■西昌では、科学記者ら約50人が現場入りしています。17:50分、発射前の最後の警報がなり、作業員、技術者の待避が完了しました。
■記者らの位置は発射台から約2キロはなれた丘の上に設置されたプラットホームです。(19:00)
■あ、いよいよです。カウントはじまります。6,5、4、3、2、1点火。(19:05)
オレンジの炎をふきだして~、ああくもりぞらなんで10秒くらいでみえなくなっちゃいました。環境に悪そうです。ちなみに日本のHⅡAロケットは、環境にやさしいエンジンらしいです。
■センターの技術者が飛行正常、信号正常、とかいっています。テレビでは白いロケットの姿がうつしだされています。(19:08)
■今、第1,第2エンジンが分離
■衛星の保護カバーも分離。搭載ロケットが大気圏を運行中にうける、大気のまさつを防ぐために、衛星は保護カバーがついてます。(19:12)
■ロケットのジェット噴射がとまり、地球の周回軌道にのりました(19:18)
■というわけで、ネット中継はizaのシステムでは難しいということが証明されました。書きにくい。ここからは、嫦娥計画について簡単に説明。どうせ、あした新聞にのっていますが。
■嫦娥計画とは、中国初の月探査計画です。嫦娥とは中国の伝説上の月の女神の名前からとりました。
■目的は、はっきりいって月資源です。同時に米国、ロシアにつぐ宇宙大国の地位を確立して、軍事利用も考えて、同時に胡錦涛政権2期目スタートを盛り上げようというねらいもあります。いずれは、アポロみたいに月面に中国人が五星紅旗をたてられたら、いいなあ、と考えているようです。そのとき星条旗がなかったら、世界中がびっくりですね~。
■ああ、と第3エンジンが再度点火。2、3時間ごとにこうやって点火したり消したりして、地球周回軌道修正しながら、地球からはなれていき、31日には月にむかいます。11月5日に月面から200キロの月周回軌道に入る予定です。11月下旬には最初の月面映像が地球に送られるそうです。テレビで解説者が、すべて正常です、とうれしそう。(18:25)
■いま、地球周回軌道にのったことが正式に確認されました。おめでとう!!(18:38)
■嫦娥計画が生まれるまで、道のりをご紹介しましょう。
嫦娥1号の制作費は約2億元かかりました。プロジェクトとしては14億元の国家予算が投じられました。中国1の金持ちの若干26歳の女性の個人資産ですら1300億元ありますから、中国の金持ちがポケットマネーで作れる額ですね。農民一人の年収は3600元ほどですけど。(19:35)
■中国の月探査計画が最初に具体的にもちあがったのは1994年とされています。香港が中国に返還される直前で、国内ムードが盛り上がっているところで、1997年にあわせて月に人を送り込めば、国威発揚効果抜群、と考えられました。しかし、このときは政治的効果ばかり考えて、科学技術的に可能かどうかをぜんぜん考慮していなかったので、ぽしゃりました。
■月の計画に、もういちどお金をかけてもいいかな、と中国が思いだしたのが2003年。中国初の有人飛行「神舟5号」打ち上げが成功した年です。今思えば、この計画もひやひやモノだったのですが。この年の暮、科学者・欧陽自遠氏による詳細な実現可能な月探査計画のレポートが中南海にもたらされました。温家宝首相がこのリポートにサインしたのは、2004年1月24日。嫦娥1号計画がこのとき正式に批准されました。
■この嫦娥1号計画は4+5、とも呼ばれました。4つの科学的任務、5つのプロセスを嫦娥1号が担っているという意味です。4つの任務とは①月面の立体写真撮影、②月面の特殊元素の分布観測③ヘリウム3の埋蔵量観測④地球と月の間の宇宙環境データの収集。ヘリウム3というのは、放射線なしの核融合燃料に最適なレアもの資源といわれ、今、世界中が虎視眈々とねらっているらしいです。中国は、アフリカや南米の資源囲い込みにあきたらず、月資源の囲い込みもねらっているようです。月はまだ、誰のものでもないですから、早くつばを付けた方が勝ち、という発想でしょうか(19:05)
■5つのプロセスとは、①月探査衛星の研究開発・発射②月周回軌道からの月面探査技術の掌握③月面科学探査の展開④月探査プロセスシステムの構築⑤プロセスの継続と蓄積。いきなり生きた人を月に送り込もう、という無謀なことは今回はいいません。
■嫦娥1号は月周回探査を1年継続したあと、自動的に月面に墜落するようプログラムされており、その墜落直前に至近距離で月面写真を撮影することになっています。命つきるその直前まで任務を全うしようなんて、えらいです。
■嫦娥1号は月周回軌道にはいったあと、地球に向けて「我愛中華」など30曲の国民愛唱歌を放送するそうです。なんか、おちゃめですね。(19:18)
■今後の月探査計画ですが、2012年に月面に無人探査機を軟着陸させる予定です。で、2017年にロボットを月面に送り、資源サンプルを中国に持ち帰る。まだ、生きた人を月に送る計画は具体化していないようですが、その5年後くらいに、人類2度目の月面着陸を成し遂げるのは中国かもしれません。そのころ、今の体制の中国が存在するかどうかは知りませんが。(19:20)
■そういえば日本の月探査機「かぐや」はすでに月観測軌道に入ってましたね。
かぐや姫と嫦娥、月観測軌道ですれ違ったときとか、なんか喧嘩しそうですね。
美女同士のつかみあいを空想して、苦笑いがでます。2008年にはインドも月探査衛星を打ち上げるとか。月資源をめぐるアジアの戦いの火ぶたはいよいよ切ておとされた!?日本はせっかく現場に一番のりしたのだから、しっかりがんばってほしいです。
■テレビでは専門家が難しい話をしていますが、これを中継する能力はありませんので、これできょうは終わります。ぜんぜん中継になってなくてすみません。中国はネットのサイトがしばしば、会見や現場中継を文字でやってくれるんですが、これって、やってみると、猛烈に難しいことがわかりました。(20:35)
福島様、お疲れ様です(^_^)
さて、地球衛星軌道への投入で失敗することはまさか無いでしょう。
次は、地球重力を使ったswingbyで加速しての月軌道投入・目標地点への誘導・着陸ですね。
目標地点への誘導・着陸というのはMIRV(大陸間弾道弾の複数核弾頭誘導弾)と技術的には似通っているはずですから、これがしっかりやれるようだと、中国の大陸間弾道弾も第3世代に入ったと言うことになりますかな。(こいつは邪推というモノかな)
こんばんわ!福島様
初めまして、いつも楽しく拝見させていただいております。
ユニークな文筆、ちょっと辛子を混ぜている中国分析、楽しいですね。
今後ともご自愛の上、ご活躍祈念いたします。
こんばんは。
いやあ、中国ってホントにお金持ちなんですね。
将来、政治犯を月に送りヘリウム3の採掘を強制労働させる。。。
TBしました。
「純国産」と銘打っているようですが、それは香港はもちろん、シンガポールや台湾も含めての地域で生産された部品を搭載しているという意味で解釈したほうがよろしいのでしょうか?
四川省の片田舎まで、打ち上げ取材で出張したのですか? ついでの何かがあるはずと踏んでいます。
で、ブログ本の発売はいつになりました? 先着30名までの希望者にはサイン本という話はありませんか?
かつてmitsubishiが純真無垢な幼少の頃“打上げは成功しなかった”という、決して「失敗」と言わないオトナの世界を教えてくれた中国。
この花開くことのない鉄の打上げ花火。農村の民は何を思っただろうか。
また、この国にODA予算をつぎ込み続けてきた外務省と中国大使館員はひたすら垂直に飛んでいったロケットを見て何を思っただろうか。目を細めて見えない振りをしていたのではなかろうか・・・。
To starbeastさん
①国威発揚②軍事利用③資源買い込み④打ち上げ見物ツアーとCCTVのCM料などの経済効果、と、ひとつぶで4度おいしい嫦娥1号計画ですね。
To 047696さん
初めまして。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
To Bookersさん
>将来、政治犯を月に送りヘリウム3の採掘を強制労働させる。。。
なんか、そんなアニメを昔みた記憶が…。
To nihonhanihonさん
東北新幹線はやてそっくりの和諧号も、純国産高速列車とよばれていますからね。
To やまかんむりさん
テレビをみながらエントリーしてました。北京にいます。
ブログ本は10月31日発売です。
To mitusbishiさん
14億元というと農民42万人分の年収。国家プロジェクトとしては安い方なのか??