食の安全学 番外編その3 中国の言い分きいて見る?

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■5月31日、国家質量監督検査検疫総局、国家食品薬品監督管理局などは、パナマで発生した中国産偽グリセリンを原料にしたせき止めシロップによる大量中毒死事件について、事件後初の国内外記者会見を開いた。5月6日にニューヨークタイムズ紙の報道で表面化したこの事件、当初は、中国は関係ない!という態度をとっていたが、その後、つぎつぎ、偽食品問題、毒入り歯磨き粉問題などが表面化し、国際社会の批判が避けられなくなってくると、さすがに、ちょっと言い訳とか反論せずにはおれなくなったようだ。

■というわけで、この問題の背景と原因、そして中国側のいいわけおよび、反論、聞いてみたい方のために、31日の会見をダイジェスト版でおおくりする。長いので見出しで内容説明。

■中国、開き直っちゃいました!
食品安全に100%はない!
毒入り歯磨き粉は中国的にはOKだい!
問題起こす食品は違法輸出だもん!
検疫当局はがんばってるんだもん!
食品医薬品監督管理局前局長には死んでもらうから、それで強制終了っ。

■まず、中国側発表のパナマ事件の調査結果から。

 2006年にパナマで発生した薬品中毒事件については、中国政府は高度に重視している。10月、FDAがパナマ政府から委託をうけて、中国国家食品薬品監督管理局に通知があり、今回の事件の調査協力依頼があった。

 5月10日、国家質量監督検査検疫総局、税関総署、食品薬品監督管理局は合同の調査グループを組織し、11日、23日に江蘇省泰興グリセリン工場を調査、また、北京中服嘉遠貿易公司に聞き取り調査した。

■その結果わかったこと。
(パナマ事件の原因物質ジエチレングリコールが含まれていた)TDグリセリンは、中国で生産され最終的にパナマに売られたが、それは独立した2つの貿易プロセスからなっている。

①2003年7月から8月にかけて、中国側貿易会社からスペインRASFER貿易会社に「TDグリセリン」が 11349㌔売られ、バルセロナ港に到着。

②2003年、スペイン貿易会社が「TDグリセリン」をパナマの製薬・薬品原料会社メディコムに販売。

■中国貿易会社とスペイン貿易会社の取り引きにおいて、2つの問題があった。

①TDグリセリンの商品名は(成分的にはグリセリンとは全く違うのに)紛らわしく、貿易相手に対し、その産品の成分表示をしなかったため、購入者が商品をグリセリンとまちがいやすい。

貨物に付ける表示(マーク)を中味とちがうグリセリン(GLICERIN)とした。ただ、中国側貿易会社は医薬品原料には不適合とスペイン貿易会社側に説明し、また品質保証期間が1年であると明記した。

中国貿易会社がスペイン貿易会社に商品を渡した時点で、中国側にとって貿易プロセスが完結しており、スペイン貿易会社が商品をどこにうるかは、中国貿易会社は関知していない

■パナマ側企業(メディコム?)には、2つの問題行動があり、これが直接中毒事件を起こした原因だ。これはFDAから提供された証拠とパナマ政府発表の公告が根拠。

①中国の貿易会社は薬品原料に適用できない「TDグリセリン」として貨物の申請をしているが、それを医薬品に利用できる「純グリセリン」とかきかえた。

②品質保証期間を書き換えた。メディコムがパナマ社会保障局(実際にシロップを製造した工場は同局に属す)に商品に販売したさい、品質保証期間を1年から4年に書き換えた。つまり品質保証期間を2年もすぎていた。

■以上の結果をふまえて、魏伝忠・同総局副局長は中国側にも規範にはずれた貿易行為があった、としながらも、「直接的原因はパナマ商人だい!」と主張した。

■また、パナマやドミニカ共和国では、中国産練り歯磨き粉から致死量のジエチレングリコールが検出され、FDAも全面調査にはいっているが、これについては、次のように説明。

■中国は海外メディアによる「毒入り歯磨き粉」報道を高度に重視しており、真相を調査した。その結果は以下のとおり。

①ミスタークール、エクセルという商品名の歯磨き粉は江蘇省丹陽市成事家化有限公司で生産、輸出された。この企業は2000年に登記されている。この二種類の商品は代理店の要求にしたがい、ジエチレングリコール入りと成分表示している。

②衛生省が歯磨き粉にふくまれているジエチレングリコールを分析した結果、ジエチレングリコールの毒性は低く、人体に入っても、素早く代謝される。発がん性、催奇性は確認されていないが、大量に摂取すると腎臓に障害がでる。EU食品科学委員会は、人の1日の摂取許容量は体重㌔あたり0・5㍉㌘以下。2000年に国内専門家が1965人に対しおこなった調査では、ジエチレングリコール入り歯磨きの長期使用は、含有量が15・6%以下なら健康に影響ない、としている。もっか、ジエチレングリコール入り歯磨き粉による中毒の報告はない。

③ただ、政府としてはこれから、歯磨き粉のジエチレングリコール含有量の管理を強化していくつもりだ。企業に対しては歯磨き粉にジエチレングリコール含有量の制限基準を制定し(いままで制定されてなかった!つまり入れ放題)、ジエチレングリコール入り歯磨き粉の品質安全を、監督管理項目に加え、歯磨き粉の輸出に対し、法定検査検疫目録を定め、強制的に検査検疫を行うことにした。

④パナマおよび、関連国家にたいしては、科学的実務的態度で、中国産品に応対し、この件について妥当な処理を望む。

以上が、調査結果報告。反省と、言い訳と、反論が微妙にまじっている。

■さらに、記者の質疑応答が結構、おもしろかった。てきとーな訳で申し訳ないが、ほぼ全部のやり取りを紹介しよう。赤字でさりげなくつっこんでみた。

(質疑応答以下)
■ロイター:国家食品薬品局の鄭前局長が死刑判決をうけたけど、彼自身は中国の食品安全に貢献したね。つまり食品安全システムはすでにとっても腐敗しているって結論をみとめざるをえなくなった。中国政府はこういう腐敗状況に、どういった具体的な取り組みをみせてくれるの?

顔江瑛・国家食品医薬品局報道官:ロイターさん、質問ありがとう。この判決は我が国政府の腐敗退治の硬い決心と民衆の関心の高さを反映しているわ。一種の警告的作用もありますね(つまりスケープゴートだ)。

ただし、鄭・前局長一人のために、全国の医薬品管理監督システムを否定してもらっちゃこまるわ(鄭前局長一人に責任を押し付けるのもどうかと思うよ)。党と政府は医薬品管理監督システムに関心を払っています。今年1月26日から、国家食品薬品監督管理局は、2カ月の集中教育をおこなっているのよ。

■中央テレビ:我が国の偽薬取り締まり、薬品の安全保障の具体的取り組みを教えてください。(2番手の質問は必ず優等生があたる

顔:CCTV記者さん、質問にとっても感謝します。ご存じのように、国内外メディアが最近、我が国の食品薬品安全の問題に一層注目するようになりました。このさい、いっておくわ。中国政府はずっと薬品安全工作を高度に重視し、薬品管理監督のための法律、制度をたゆまず建設してきました。国家、省、市、県の四レベルで管理監督体制をしいています。もっか、監督管理機関は3509機関にのぼります。地方政府が総合的責任をおい、各部門、企業にも第一責任者をおくようにしています。薬品市場の秩序のために、昨年は医薬品、医療器械違法事件33・2万件を摘発したわ。これは総額5・7億元に相当する。さらに、440地点の地下偽薬工場を壊滅させ、違法公告5・1万件をとりしまった。
摘発の成果を誇る前に、それだけ野放しだったという事実にもっと真摯になってほしい

顔:この機会にいっておくけど、国家食品医薬品監督局は責任ある機関として、国内外メディアの関連報道を非常に重視して、具体的なヒントがあれば、すぐにもまじめに、ニセ薬の摘発にうごき、違法行為を捜査し、法にしたがった処理をしています。同時に、国外の貿易商は我が国と薬品貿易するときは、ちゃんと医薬品貿易の資格のある貿易機構とやってね。(さりげなく、中国企業と違法貿易する外国貿易商の問題もある、と反論

■AP:魏局長にききたいんですけど、つまり透明度の問題を。8カ月以上前に、すでにパナマでは51人が関連商品で死亡したという報道があったのに、なぜそのとき中国政府は記者会見をして、みんなに情報を提供しなかったのですか。最近、メディアの報道が多くなってから、しぶしぶ会見開いたっていうふうに見えますよ。どうして早くに会見ひらいて、TDグリセリンの危険性や誤解を招きやすいという問題をみんなに訴えなかったのですか?

魏副局長:中国はこの問題をずっと高度に重視して、昨年から国家食品薬品監督管理局がチーム組んで調査して、FDAにも報告したんだよ。でもメディアがまた関心をもちはじめたので、もういっかい、質量監督検査検疫総局、税関総署なんかも加わって調査しなおしたわけ。この事件については、われわれは責任ある調査結果を発表したかったので、調査が完全におわってから、公表したかった。(人の命や健康にかかわる問題で、何を悠長なこといっているんだ。と日本人は思うわけ。

■シンガポール記者:魏局長、で、調査の結果、どういう結論にいたったの?

魏:確かに、中国側企業に、すこし問題はあったかな(おおありです)。TDグリセリンという名前は、間違いやすいよね。それに、包装ラベルにグリセリンと表示したのは、貿易プロセスとして問題ありだ(それを世間では改ざんというんです。たけど、中国側企業は明確に、「TDグリセリン」と伝票にかいていたわけだし、医薬品に使えないことや、品質保証期間が1年なこともかいていた。これは非常にはっきりしている。中国企業がスペイン企業に貨物を発送した段階でこの貿易プロセスは完了だ。スペイン企業がパナマ企業にTDグリセリンをうったこと、その3年後にパナマ企業が、TDグリセリンを医薬用グリセリンと改ざんして、品質保証期間も1年を4年に書き換えた。このプロセスは非常にはっきりしている。
こういうとき、中国は会見が下手だと思う。中国に責任がなかったと主張する前に、少しでも責任はあったわけだから、そのことについて、真摯に厳粛な態度で陳謝するべきだと思うね。でないと、責任転嫁と批判されるのは当たり前だ

■フェニックスTV:顔女史に質問したいです。最近、米国メディアが報じたんですが、中国は米国の食品安全規定に違反する国のなかでもっともひどい国だと。とくに先月は、257種の中国産輸入食品が違反して、税関で入国を拒否されたと。ほんとうですが?論評をお願いします。

■顔:質問ありがとう。この問題は、国家食品薬品監督管理局としても非常に関心あるんですが、検疫部門の話しなんで、魏局長にこたえてもらいます。

魏:この会見に、うちの総局の輸出食品安全局の李元平局長が出席しているので、かれに答えてもらいましょう。

李元平:質問ありがとう。われわれも、メディアのこの報道には注目しており、同時に調査もしています。ちょっと事実誤認があるようです。(以下、外国メディアを唖然とさせた李元平氏の大演説

■李元平:まずFDAのオフィシャルサイトによると、4月分の中国産対米輸出商品で、米側検査検疫当局により不合格となったのが257件。うち食品は137件。137件中、77件が中国側検査検疫機関を通さずに米国に輸出された食品、つまり不正常輸出で米国にわたった食品です。のこりの60件中、16件は重複通報で、実際、中国の検疫当局を通って正常に輸出されたもので、不合格となった食品輸出はわずか44件なのです。

■李元平:われわれは最近のメディアの中国食品に関する報道はこれにととまらず、少なからぬメディアが中国食品は安全ではないと大量報道しています。この問題について、数字で皆さんに説明したいと思います。

■2004年中国から米国向けの食品輸出は8・9万件、うち不合格は925件、合格率は99%です。同年、米国から中国向けの食品輸出は1・7万件、不合格は169件、合格率は99%。
2005年中国から米国向けの食品輸出は8・2万件、不合格は845件で合格率は99%。同年、米国から中国への食品輸出は2・3万件、不合格は259件で合格率は98・8%。中国の合格率は米国を上回っています。
2006年中国から米国向けの食品輸出は9・4万件、不合格756件、合格率99・2%。同年、米国から中国への食品輸出は2・8万件、不合格259件で合格率99%。中国食品の合格率はまたまた米国よりたかいです。

■事実は雄弁より勝つのです。数字は疑い有りません。99%の合格率、これは食品合格率としては非常に高いというべきです。一部メディア、少なからぬメディアの中国食品についてのいわゆる不安全問題のおおげさな報道は、これら数字をとおしてみれば、根拠なくあおっているのだとわかるでしょう。
(その前に、中国の統計のクレディビリティについて話し合おう)

■いかなる物事もリスクゼロなどありえません。どうように食品も100%の合格率などないのです。一企業の問題を中国問題として語ったり、一部食品の不合格を中国食品全部が安全でないように論じたりすべきではないのです。
(と、それを当局者がいってはおしまいなのでは)

■中国政府は高度に食品安全を重視しており、特に輸出食品には完全な管理体制で安全を保障しています。栽培、養殖、田畑、農場にいたるまで一貫して管理して、輸出しています。
中国には専門の輸出食品の安全管理システムがあります。まず、輸出食品の栽培、養殖基地は検査検疫管理制度を実施、その検査に合格してはじめて、輸出食品の原料となる農産物、水産物を作ることが許されるのです。
また、輸出食品生産企業に対しては衛生登録制度を実施、この規定条件に達し、専門の検査・試験を通過して、はじめて衛生登録証書をあたえられて、食品の生産、加工、輸出が可能なのです。
(そのシステムが汚職と怠慢で機能していないことがないように頼む)

■生産加工のプロセスにおいては、われわれの検疫検査機構が工場にゆき、監督管理を行い、輸出食品の生産過程を持続して我々の管理要求、輸出基準を満たすよう保障するわけです。
我々は、生産企業に合格食品にたいして、関連の識別ラベルを添付するようもとめ、問題が発生したら、遡って原因を調査できるようにしています。
(だから、そのシステムが本当に有効に機能しているか、誰が保証するのかと言う問題があろう

■最後に、食品は輸出前に、必ず検査検疫機関の検査に合格してから、税関をとおることができます。もし、輸入国の要求があれば、われわれは、すべての輸出食品に合格証書を発行することができます。
(だから、その合格証書がニセモノでないと誰が保証するのか)


■ですから、皆さん、この合格率99%というのは、中国政府の非常な努力、労力のもと、科学的に改善された一連の措置の結果なのです。
(はぁあ?)

■ここでさらに私はいいたい。中国のこの一連の制度は、輸出食品安全を非常によく保障している。しかし、4月に137件の不合格食品がでたうち、77件の違法輸出食品が米国にいたった。なぜでしょう?これは中米の食品安全管理制度が同じでないことが原因です。米国では食品生産企業が輸出国の衛生登録をおこなっていなくても、食品貨物が輸出国の検査検疫機関の合格を通っていなくても、輸入をゆるしてしまうのです。同時に、米国は輸入のとき、輸出国が食品に証書をつけているかどうか、検査しない。だから、一部企業、とくに違法企業につけいられる。中国政府が監督管理していない食品まで米国にくるのです。
(つまり、メラミン添加の小麦グルテンによるペット中毒も、輸入した米国企業が悪い、といいたのか)

■中国にくる米国食品も、1%の不合格率です。今年4月から今にいたるまで、米国から中国に輸出された肉類のなかで、35件からサルモネラ菌など病気をおこす微生物、中国では使用が禁止されている残留薬品ラクトパミン(動物用合成成長促進剤)、クロピドール(動物用合成抗菌剤)が検出されました。われわれはすでに、ラクトパミン、クロピドールが検出された米国の2企業かあの中国向け肉類輸出を停止しています。
(米国の肉だって、安心できない。これは事実だろうが、中国にいわれたかねぇ、と米国人も思うだろう)

■最後にひとこと。中国政府は高度に食品安全を重視しています。(何度目だ、くどい!)すでによい仕事ぶりをみせて、世界各国の消費者の安全を保障しています。同時にいいたい、食品安全に100%はない!飛行機は安全な乗り物だが、時には墜落するのだ。(ちょっと、まったぁ!安全な飛行機とは、墜落しない飛行機のことだ。メンテをきっちりやって、パイロットの技術とモラルと労働環境がきちんとコントロールして、飛行機事故をかぎりなくゼロにしようとするのが、責任ある態度というの!開き直る前に、やることやってくれ!)

■米UPI:李局長の詳細な紹介で、全面的に実際の状況を理解する助けとなりました。ですが、もっと多くの情報がほしいですな。まず、中国食品薬品監督管理システムと中国税関に、いったいどのていど腐敗と怠慢が蔓延っているのか。高位の官僚汚職はニュースでしっていますけど、全体のシステムで、どれだけ腐敗があるのか。つぎに、中国食品薬品監督管理局の中で、食品に責任を負う人は何人で医薬品に責任を負う人は何人なのか。予算はどのくらいなのか。米国から輸入した豚肉の問題を指摘されましたが、中国での最近の豚肉の急激な値上がりは、豚に感染症がはやっているからですか?国内の豚の疾病状況について最新の情報を提供してくれませんか?

顔:食品医薬品管理監督システムの腐敗状況は、司法部門にきいてください。食品医薬品管理監督局の職員の数、予算は、調べたあと、報告します。(豚の疾病状況の問題も答えてあげてください)

■司会者:きょう、記者席に、もうひとり、国内食品安全をになう食品監督管理司のオウ司長がいらしゃっています。国内記者は国内の食品安全に関心があるでしょう。オウ司長に簡単に発言してもらいましょう。

■オウ建平:もっか、われわれの食品市場許可制度により、28グループの525種食品、9万食品企業が生産許可証をえています。これら企業の市場シェアは90%以上。この制度は中国食品の安全に対し大きな促進作用がありました。米、めん、油、醤油、醋の五グループ食品の合格率は31・6ポイントアップし、現在は91・5%に達しています。(31ポイントアップで91・5%の合格率って、もともとすごい低かったってことだな…)

■さらに国家レベルの食品抽出検査を強化しています。五年来、166784企業の25907種産品に対し、抽出検査をおこない、平均合格率は80%に達し、毎年アップしています。
(平均合格率80%って、中国的には高いのか…)


■また、小企業、零細食品加工所の監督も強化しています。近年来、われわれ質量監督検査検疫総局は全国の零細食品企業に対し、ローラー調査してきました。中国で従業員10人以下の零細食品加工所は35・3万企業です。これらにたいし、デイリーで管理監督を行うべく、地域の責任制を実施、強化します。
(地方政府に責任おしつければ、問題がおきても首切りすればOKだし)

■特に力をいれて克服すべきは、
①食品小企業、零細企業の品質安全の基本条件である衛生面の改善、衛生条件が基準にみたなければ食品の生産は許可しません。
②小企業、零細企業は県レベルの行政区内での販売に制限し、正規のスーパー、市場には商品を置かせません。
③小企業、零細企業が、食品加工において、違法原料、回収食品の再加工をしないことを承認させます。
④偽食品の販売取り締まりを強化し、非食品を利用したニセモノ悪質食品の地下工場の摘発を強化します。
2006年、われわれは生産加工領域で、4・9万件の違法案件、4・5億元相当を摘発し、8585企業を閉鎖させました。

■また食品基準を改善し、リスク監視や緊急通報、緊急対応システムの方面で大量の仕事をし、不断の努力によって、我が国の食品安全状況をたゆまず好転させます。
(言うだけなら誰でもできるのだ)

■スペイン記者:質問がふたつあります。①TDグリセリンとジエチレングリコールの区別ってどこにあるんですか?②中国側企業は、いったいTDグリセリンか、ジエチレングリコールか、どちらの認識で販売したのですか?

魏:まず①の質問ですが、TDグリセリンは実のところジエチレングリコールにソルビントールを加えたもので、ジエチレングリコール15%、ソルビントール85%です。
②の質問ですが、中国側企業は、「TDグリセリン」として明確に表示し、中国では医薬品に使われないことを明記し、品質保証期間も1年としました。スペイン側企業もその内容を確認しています。

司会者:では、これで会見はおわります。
(って、おわりかよ、私は当ててもらえないの??)
(以上、質疑応答おわり)

■さて、この会見から、中国の食の安全改善に対する「真剣み」が伝わっただろうか。私は、中央政府はもうちょっと、食の安全問題を深刻に受け止めて、危機感をもってくれているとおもっていたから、この会見内容にがっかりだったよ。トップが「100%の安全なんてない」と開きなおっちゃあ、だめだよ。あなた、飛行機だって墜落することくらいあるわな、と開き直る航空会社の飛行機に誰がのりますか?

■中国は、ときどき、おれたちこんなにがんばってるのに、なんだよっ!という発言をするが、がんばっただけでほめられるのは高校生までだ。大人になったら、がんばっても、がんばらなくても、結果をださなくては意味がない。まず、国家としての甘え、「こんなにがんばっているからいいだろっ」「だって、中国は途上国なんだもん」というのをやめることから、はじめてほしい、と思いました。

■ちなみに、福島はず~っと手をあげつづけたが、あたらなかった。聞きたかったのは、①過去におきたタヒチなど別の国で発生したシロップ中毒事件(死者累計1000人といわれている)と、TDグリセリンの関連をまじめに調査したことがあるかどうか。一部で中国産偽グリセリンが原因と疑われているが、どう思うか。②TDグリセリンの商品名は認可を取り消すのか。生産工場には何らかの責任追及があるのか。

■いちおう帰ろうとする魏副局長にぶらさがったが、「おれ、いそぐからっ」て逃げられてしまった。すんすん。最近、会見で手をあげても当らなくなったなあ。やっぱりさけられているの?

「食の安全学 番外編その3 中国の言い分きいて見る?」への36件のフィードバック

  1. 福島香織様:冴え渡る鋭い舌鋒、素晴らしいです・・・と言おうとして、ハタと考え込みました。そう言えば、ソウルの久保田るり子記者のBlogがないのは、何か書くと、朝鮮日報や中央日報、東亜日報の在日(日本駐在)記者が「ご注進」して騒ぎになるからだよなぁ~、黒田勝弘さんなんて、問題にされるの判ってるから、控えめに書くこと多いもんなぁ~。。。多分、久保田るり子記者が韓国のことを福島香織記者並みに書けば大変なことになりそう。と言うことは韓国より中国の方が言論の自由があるってことかなぁ~と考え込んでしまいました。

  2. 追伸:本家本元の朝鮮日報・日本支社を忘れていました。真っ先に朝日新聞がご注進に及ぶでしょうね。朝鮮日報東京(日本)支局と白眞勲の勤務していた朝鮮日報日本支社とは別組織だし、これに朝日新聞が加わるとなると、朝鮮日報日本支社は3つもあるんですね。混乱しますです。

  3. 福島香織さま
    >(って、おわりかよ、私は当ててもらえないの??)
    >ちなみに、福島はず~っと手をあげつづけたが、あたらなかった。
    >最近、会見で手をあげても当らなくなったなあ。やっぱりさけられているの?
    アイツだけは是が非でも避けるのだ!
    もはや一種の勲章ですね♪

  4. 福島香織様
    死刑になった鄭国家食品医薬品監督管理前局長は死刑になる前に「俺以外にも、俺よりもっと悪いことをして俺よりもっと溜め込んでいるやつがいるじゃないか。俺は運が悪かった」と思ったことでしょう。
    日本や欧米では賄賂を取って死刑になることはありませんが中国のように有害、有毒食品は出回りません。結局一党独裁を続ける限り中国のいろいろな矛盾、腐敗は直らないのでしょうか。
    中国や東南アジアの国で出世した人の妻子が待ってましたとばかり賄賂をとって蓄財にはげむのはDNAでしょうか。外国人から見ると中国人も日本人も同じように見えますが日本人はアジアに中でも非常に特異な国(清潔、謙虚)ではるかに欧米に近く見えます。
    それにしても有毒、有害食品が世界中で暴露され輸出が難しくなってしぶしぶインタビューに応じるというのはいかにも官僚国家中国です。しかしインタビューの内容を見ると改善策を示すより、「自分(中国)は悪くない。外国だってこんなにひどいじゃないか」と言い訳に終始するというのも中国ですね。

  5. >、「おれ、いそぐからっ」て逃げられてしまった。すんすん。最近、会見で手をあげても当らなくなったなあ。やっぱりさけられているの?
    そりゃあ、場合によっては死刑だというのでは、私なら記者会見でも、一言だってしゃべりたくないですw。
    >137件中、77件が中国側検査検疫機関を通さずに米国に輸出された食品、つまり不正常輸出で米国にわたった食品です。
    中国に税関はないのか、誰もチェックしないのかと笑わせてもらいました。どうせワイロでフリーパスなんでしょうね。

  6. 昨日、日本ライスという米穀商の社長がつかまりました。なんと、きららとかコシヒカリに中国米を混ぜてたそうです。その中国米は、弁当とかお菓子、外食の業者用で輸入。日本じゃ、家の中でも外でも、もう安心して食べられないようになりました。

  7. 福島記者
    > 司会者:では、これで会見はおわります。
    > (って、おわりかよ、私は当ててもらえないの??)
    >
    だって、産経で「かをりん♪」なんだもの…相手悪過ぎっ!! (by 魏副局長)
    直接の当事国ではないから、日本の報道機関が質問対象外なのはしゃ?ないですが、ふと「朝日」ならどういう質問するのかな?と想像して嗤ってしまいました。 さりながら、中国製工業製品の入荷予定が立たず客先に平謝りしている小生と致しましては、彼の国の想像を絶する大らかさ(政府も民間も)に絶句するばかりのみです。
    それでいて、努力してきた?監督局長をあっさり死刑で処分とは…やっぱ怖いよ独裁政権は…

  8. 福島様、こんばんわ。初めておじまします。
    いつもながら、福島さんのコメントが良いですね。
    それにしても、何時もながら中国当局は開き直りが多く努力が足りませんね、説明もヘタすぎ~♪
    こんなところが中国が信用されない所以でしょうか。
    これからも、福島さんの中国レポートと鋭いツッコミを楽しみにしています。

  9. やっぱりさけられているの?…いずれ片思いが両思いになれるといいですね。
    この質疑だと、企業も通関もザルですって言っているようなものです。
    最終的に誰がどう使うのかまで責任をもってやらないと、もし問題が起こったらこうなる、という典型なのに。
    ラベルが信じられないなら何も買えないよ?買い手に何に使うか、どう使ったか聞かないの?ラベル張替えとか中国では起きないよね?中国へ売る人もどう使ったり転売されたりするか怖いと売れないよ?って言ってあげてください。
    愛をこめて全力の往復びんたと一緒に^^

  10. いつも読ませていただいてます。
    海外サイトでもパナマの件については中国の責任ではない説に傾いてますね。
    さっきBBC行ってみたら、なんか絶望的に反日親中なんで・・・orz
    話は変わるんですが、昨日のBBCの記事
    「中国での肝細胞(治療)がShoniaの望み」って???
    良く解んないんですが、実際中国のこの医療のレベルはどうなんでしょう?
    英国では禁止されてる治療なので中国に行くとか・・・
    記事見る限りインド系の移民みたいだけど(推定です)。
    上の方の医者は英米に留学して優秀なんでしょうけど、しかしなんで中国、治療費の問題?
    http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/dorset/6710649.stm

  11. で、豚の感染症騒動の、真の原因は何だったのでしょう?
    日本の報道では、北京での豚肉の小売価格の値上がりだけがニュースになってましたが・・・。

  12. 福島様、こんばんは。
    なんでもすぐに謝っちゃう日本と違って、中国は言いたいことは言うし、堂々としていて頼もしいなあ(棒
    でも、福島記者を当てないなんて、肝っ玉はちっちゃいかも。
    そういえば、EUで押収した海賊版の86%が中国製だったとか。どう言い逃、ゲフンゲフン、反論するのか楽しみだなあ(再び棒

  13. 始めまして。
    面白かったです。
    ツッコミ芸の大家を目指して欲しい。
    学校の試験も記憶の正確さを計るばかりじゃなくて、ツッコミ試験とかすりゃ良いのに。
    特に外務省のチャイナスクール職員には、定期的に受けさせるべきだ。
    >2006年中国から米国向けの食品輸出は9・4万件、不合格756件、合格率99・2%。同年、米国から中国への食品輸出は2・8万件、不合格259件で合格率99%。中国食品の合格率はまたまた米国よりたかいです。
    中国は相手国に検疫で撥ねられたら、報復的にやり返すフシがある。
    ココんとこも、ツッコミを入れて欲しかったなあ。

  14. いつも面白可笑しく読ませていただいてます。
    ちょっと疑問を持ったのですが、
    >2006年中国から米国向けの食品輸出は9・4万件、不合格756件、合格率99・2%。
    >同年、米国から中国への食品輸出は2・8万件、不合格259件で合格率99%。中国食品の合格率はまたまた米国よりたかいです。
    とありますが、そもそもこの検査は各輸入国自身が、輸入品を全数検査した際の数値なのでしょうか?
    4月分(2007年?)だけでFDA検査不合格が257件となっています。もしFDAの数値なら、年度が違うにせよ756件では少なすぎます。続けて発言したからといって、同じ出典とは断言できないですよね。

  15.  福島様,
    ああ言えばこう言うと国民性を表しています。
    絶対世界に謝らないでしょう。
    謝らない民族に世界はきずくでしょう。
    大変な国が隣にありますね。

  16. エントリには関係ないですけど、この記事って本当なんでしょうか?
    大紀元はどちらかというと反政府なので本当なんでしょうが
    いくらなんでもこんな色の湖がこの世に存在するとは信じられないので
    高度経済成長時代の日本だってここまでは酷くなかったと思うけど
    大紀元 写真報道:太湖の汚染で、水不足
    http://jp.epochtimes.com/jp/2007/06/html/d68967.html

  17. To aqua2020さん
     黒田さんは、韓国政府やメディアから、つっこまれるのをちょっと楽しんでいるみたいですね。

  18. 確かに衛生省の会見とかは、あたりにくいです。外交部はいちおう、手を挙げた記者全部をあててくれます。外国記者への答え方は、外交部が一番、練習をかさねているからでしょうか。

  19. To mapotofuさん
     中国が最近導入している、責任制というのは、早い話が、問題がおきたとき、責任者の首切りでことを終わらせてしまう制度に思えてしかたがありません。外国へ輸出する食品の安全システムかかなり徹底されていることは、今会見でわかりましたが、そのシステムが正常に機能するかどうかが、最大の問題ではないかと思いました。

  20. To kokuさん
     違法輸出の背景に、税関汚職がどのくらいあるかも、教えて欲しいところです。

  21. To kokuさん
     信用とは、一度の悪事、怠慢で完全に失墜してしまいます。その恐さを、中国にも日本にもわかってほしいですね。

  22. To 一閑さん
     600万元の汚職で死刑。まあ、偽薬など人の命に関わることだから、当然といえば当然かもしれません。「誰かにしんでもらわんと、外国さんがなっとくせえへんやろ」、と盆栽の手入れをしながら、さらりといってのけた胡錦濤組長の後ろ姿を想像してしまいました。

  23. To haneda-no1さん
    初めまして。
    中国に、会見の開き方とかアドバイスしてあげたいですよ。確かに事件そのものの第一責任者は中国ではないようなので、会見の対応さえ、よければずいぶん、イメージよくなるのに。

  24. To liewさん
     中国企業から輸入する日本企業には、あいてのいったことを鵜呑みにせず、みずから成分検査したり、品質を確かめたりする注意深さをもってほしいです。

  25. To wonder123さん
     中国は医療倫理上の問題があまりないので、移植やクローンなど一部の研究については、進んでいるとはいえなくとも、臨床例がおおかったりしますね。この分野については、すみません、まだよく調べてません。

  26. To ニッポニア・ニッポンさん
     豚肉の値上がりは目を見張るものがあります。5月の連休前と比較すると、倍近くになっていますね。原因は、豚の感染症流行だけには留まらない気がします。一番おおきな原因は、バイオエネルギー流行で、資料用トウモロコシなどが値上がりしたことでしょうか。鶏卵、そのた食材も値上がりして、庶民の台所を直撃しています。

  27. To seedsさん
     そうですねぇ。こんな風に、おれは悪くない、と言い続けることも必要かもしれません。ときに。日本も、こういうところを中国に学ぶべきでしょうか。

  28. To btttbさん
    歩出夏門行?健さんの幸せの黄色いハンカチ?
    激流中国は、NHKの番組でしったっけ?

  29. To aiueoさん
     はじめまして。一緒に、つっこんでやってください。そんなわけねーだろ、とか、ありえね~とか。

  30. To kuniさん
    すぐあやまる日本も問題ですが、ぜったいあやまらない中国も大きな問題です。

  31. To hiroponさん
     太湖のアオコ汚染、今年はとくにひどくって、水道水は鼻まがるような匂いだそうです。6月1日から改善され、おわびの印に水道料金は半額になりました。

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