■ライス国務長官が今朝、北京にやってきて早速、李肇星外相と会談した。「対話を目指した平和解決で一致」だそうで。「六カ国協議再開のプロセスを話し合った」そうで。金正日総書記が胡錦濤特使の唐家センにあった上で、核実験をやれば、ほんとうに中朝間関係は完全に決裂だから、兄弟でそれはやめよう、ということになったんだな。なんか拍子抜け。やっぱり、ただの兄弟げんかか。
■中国は、いかにも北朝鮮に本気で怒り始めている、というサインはだしていた。中国外務省傘下の専門誌、世界知識(10月16日)で張璉瑰・中央党校国際戦略研究所教授は「六カ国協議の継続は無理」と主張し、人民日報海外版は「北朝鮮が核実験を続ければ、中国は食料と燃料の供給を停止しうる」(10月17日)との記事が載った。もっとも、この内容については、外務省の劉建超報道官は19日定例会見で、これが当局の立場を代表するものではないとして、「六カ国協議には依然望みがある」「朝鮮人民への食料・燃料援助は、正しい政策」と答えていた。思えばこのとき、すでに唐家センと金正日総書記の会談結果がでていて、核実験見送りで双方合意していたんだな。
■これで一番嬉しいのは北朝鮮である。北朝鮮は少なくともこの冬をこすぶんの食料、燃料を中国からたっぷりもらう約束をとりつけられただろうし、核実験1回の実績をあげ、事実上、核を持ったことになったし、盛り上がりかけていた北朝鮮包囲網はすっかりゆるゆるになるし。金正日将軍は「米国が金融制裁をやめれば、6カ国協議に戻る準備がある」といったそうだが(By朝鮮日報)、たとえ無条件で協議に戻ったとしても、北朝鮮の立場は以前よりももっと有利。春になって、おなかがすけば、また核実験するぞ、といえばいい。そのうち、実験実績が5、6回も続けば、核兵器もできるだろう。
■残念である。二度目の核実験があったら、こんどこそ、国境に出張にいける、という話だったのに。今なら松茸が旬だし、なにより本気で仲わるい中朝関係というものを、一度はみてみたい(不謹慎)。いや、そういう個人的なことはさておいても、兄はあとで振り返って、このとき弟に引導を渡しておけば、よかったと後悔することになるのではないか、と思う。
■ライス長官も平和解決の道を維持しておかねば、とか言っているし、ここは中国のメンツをたてて、経済制裁はやめないとしても、なにか譲歩する可能性はある。で、米国の出方にもよるが、年内の六カ国協議開催、ということになるのか。それは、双六でいうと、上がりまぢかにして、一気にふりだしに戻るということではないか。仁義なき戦い、兄弟編はとりあえずなまぬるい結末で終了のふんいき。これからも、よくにた半端な盛り上がりの続編がながながと続くのかと思うと、うんざりである。そしてその先の最終章は、ハートウォーミングなのか血も凍る悲劇なのかまだわからない。
六カ国協議という会議への参加を交渉の目的にすり替えちゃったキム将軍の勝利でしょうね。支那が本気になってもならなくても、連合国での立場がマズくなることを見透かして、適当に使者をあしらい、「まあ、そちらの都合の良いようにライス女史に報告するしかないのじゃないか?」と短時間で切り上げたのではないでしょうか。体調が悪いかどうかは不明なれど、鉄砲玉には彼なりの命中させるための鋭い作戦があるのかも。
先行きは読みにくいですねえ。核実験までは読めたんですが、こうも多国が、激しくかかわるとなるとどうなるんでしょうか。
1つ考えたことがあるのですが、米国と日本の関心のあり方が違うのではないかと思います。
米国は核兵器開発よりも、プルトニウムや核兵器そのものの北朝鮮国外流出を恐れているのではないかと思います。買い手は中米あたりでしょうか。イスラム系のテロ組織も可能性は高いです。
日本の主たる関心事は国防であり、核ミサイルです。かの国での激しい反日教育や日ごろの言動から、日本に対して使用するのではないかという懸念です。
米国としては北朝鮮の核ミサイルはどうでもよいといえます。MDを開発中であり、テポドンはまだものになってません。さらにいえば1万発の核弾頭が、イザというときに待機してます。
米国が国務長官を走り回らせているのは、やはりテロの予防でしょう。なぜ臨検にこだわったかという理由でもあります。
中国が走りまわるのは、弟の不始末でアメリカ人の死体が数万、数十万転がることになると、とうぜん、弟憎ければ兄も憎いという状況を避けたいからでしょう。米中関係が致命的なことになりかねません。
となると平壌で話し合われ北京で米中が話すことは、核物質と核兵器の国外売却と、米国を射程に入れるテポドン開発でしょう。北朝鮮が国外売却とテポドン開発をしないなら、中国からの援助は続行されるというあたりがオチではないでしょうか。
その場合、北朝鮮は細々とでも核弾頭開発を続行し、日本を射程に入れるノドン核ミサイルまでいきつくでしょう。核実験は当然続行されることになります。
これ、どうでしょうかね?
なし崩し的にもうひとつ核保有国ができたということですか。 いずれ崩壊するにせよ、韓国に吸収されるよりは支那に吸収される方が見かけ核保有国が減ることにもなり、韓国支那間の緊張が台湾に有利に働くような気もしますが。
やまかんむり
中共が北朝鮮の核保有を容認するとは思えませんが。
http://sorceress.raindrop.jp/blog/2006/10/#a000735
兵頭二十八さんの分析によると、現状で北の核が届くのは韓国と中国のようです。
中共が北京に到達する北朝鮮の核ミサイルの開発を容認すると思いますか。絶対に容認しないと思います。
多分、中朝会談で具体的に何が話されたかは明らかになりません。時間を措いて少し明らかになる程度だと思います。
中国側は唐家センを筆頭に中朝関係の最高実務者が全員揃い、北朝鮮もトップの金正日、外交トップの姜錫柱ら全員集合だったのですから。姜錫柱が入っていることがポイントですね。こいつが唐家センのバイでしょう。後の二人は雑魚です。
分析には時間が必要ですね。
>kiyoicho さん
すみません。私に言っておられるのでしょうか? そうだと仮定して
中国は、かつての東西陣営対立、中ソ対立の時代から、中国全土が焦土となる数の核ミサイルに狙われており、現在でも米国の多数のミサイルが狙いをつけており、10基程度の北朝鮮の核ミサイルが加わったところで、いまさらたいした脅威とは感じないでしょう。
北朝鮮にとって中国は唯一の友好国であり、中国との友好は求めても、滅亡を望むとは思えません。また、中国が滅亡すれば、その次は自分の番だと承知しているはずです。
私は、北朝鮮は、国際的な信義を踏みつけにするような狡猾な国ではありますが、金将軍は、北朝鮮の生き残りと繁栄を目指して真摯に努力をしていると思います。我々から見て、やってることが正反対、つまり滅亡を目指しているかのように見えるのは、金将軍や指導層が我々とはまったく違った考え方をしているせいでしょう。考え方の基礎や論理が我々とは違うということです。つまり何をするかわからない基地外ではなく、理性的に判断すると思います。
北朝鮮の独特な考え方の元は、情報鎖国と、思想統制にあるでしょう。韓国はまがりなりにもまともな人がいますが、それは結局、情報の入手や言論に自由らしきものがあるためです。北朝鮮はそういうものがなく、外国事情はよくわからず、自由に意見を述べることもできず、どうしていいかわからず、結局、昔からの煮詰まった行動へと進むのだと思います。
偉そうなことを述べましたが、北朝鮮がこれからどうするのか私にはわかるのかというと、やはりわかりません。
日本が腑抜けだからこうなるのです。
日本が断固として反対し核保有を、
本格的に検討を始めなければ中国は
動かない今中国を動かし核を取り上げ
させられるのは、日本です。
日本が核を持つと言う事は、世界を
動かせるのです。
日本におかしな左翼が居る事が
足かせになっているのです。
現政権はこれを知っています
教育問題で日教組を、
宗教団体を後ろに持つ政党を
この二つを解決しないと、
正しい判断が下せない。
これが今の日本です。
福島香織様
チベット難民射殺事件のビデオについては、外交部定例会見では誰も質問しなかったのでしょうか。北朝鮮問題で無視されてしまうのでしょうね。しかし、以下、オランダ外相が問題にしているようです。
http://www.savetibet.org/news/newsitem.php?id=1043
カナダでは中国領事館の前で抗議デモがおこなわれたとか。それに比べ日本ではダライ・ラマ法王日本代表部事務所やアムネスティ日本・チベットチームのサイトですら報じられていません。日本でのチベット問題に対する関心の低さはナンなのでしょうか。やはり中国での権益が優先されているのでしょうね。
北朝鮮の核実験はある意味日本の追い風になりうるものでした。
中川政調会長の核発言でアメリカと中国に緊張を喚起しライス女子の「日本を守る」発言を引き出したものと思います。
韓国もアメリカとの同盟関係を固める事でしょう。
これは日本、韓国はアメリカの「核の傘」に守られている事も再確認させられました。
海外では原発開発が広がり核兵器への転用が考えられます。
イランも核開発をより急ぐ事になるでしょう。
何しろ核を持ったら攻撃はされない事を北朝鮮が証明したようなものだからです。
これは民主国の甘さの限界かなとも思います。
台湾が核開発を実行しようとしただけで中国は攻撃を始める事でしょう。
アメリカも日本も対処が甘い
結局その甘さが時間と共に危機を大きくしてるようで心配されます。
専門外なのでよくわかってはいませんが、プルトニウム型原子爆弾は10回程度の核実験により初めて、技術検証が終わり併記としての信頼性が確保されるようです。(パキスタンでもインドでも10数回の実験を行った)
国際社会の対応が確定する前に2度目の核実験のチャンスがあったにも係わらず2度目の核実験を間髪入れず行わなかったのは、爆縮がうまくいかなかったことに依る失敗ではないかと考えています。(威力が極端に小さかったことと、映像が公開されていないこともそれを示しているのでは?)
今回の「2度目の核実験の計画がない」と言うのは、失敗した核爆弾の改良に時間が必用でありその為の時間稼ぎを行っているのであり、国際社会の圧力による物でも、中国の顔を立てたのでもないように感じられてなりません。
少なくとも中朝会談の前や、1回目の核実験後国際社会の評価が定まる前に、2回目の核実験を行わなかったのは、先日のミサイル実験の際に繰り返し行った北朝鮮のやることとは思えません。少なくとも失敗していたかもしれぬと、国際謝意の疑問がわずかでもあるというのは北朝鮮の本意ではないはずです。
いずれにせよ半年くらいの内には答えが出ると思います。その時の中国の反応が非常に興味深いです。
qomo8848 さま:外交部会見で、質問いたしましたところ、依然の答えに補足することはない、との答えでした。私も記事にしたいのですが、既出の内容を、焼き直してだすのは結構難しいというかテクニックやタイミングがいるものです。チベットの他のネタや新たな動きと絡めて出せれば一番よいのですが。
福島香織様
チベット難民射殺事件、会見で質問していただきありがとうございます。あれだけのビデオがありながらしらをきるとは、あきれてものが言えません。これで北京オリンピックを迎える気ですかね。私も国境付近はよく行くので闇に葬られないように気をつけねば。殺された17歳の尼僧と少年があわれ。子供たちがどうして危険をおかしてまで6000mの氷河の峠を越えるのか。ドイツ人が撮った以下のドキュメンタリーが感動的です。機会があれば見てください。
http://www.tsg-kiku.com/eoth/
ナンパラ峠を越えネパール側に出たところからダラムサラまでを追っています。
nhac-toyota さま:キム氏の一人勝ちかと思えば、よくよく考えてみれば、唐氏の訪朝が核実験を食い止めた、という国際評価をかえりみると、中国も勝ち組なのですね。今回の勝負。ふと、実は中朝兄弟特有のあうんの呼吸の連携プレーのような気がしました。今回の騒動。
koku さま:日米って、完全に歩調があっているわけでもないかもしれませんね。米国が困るのは、核が国際テロ組織に渡ることと、日本が核兵器を持つと言い出すことかもしれません。。
yamakanmuriさま:気がついたら、核保有が既成事実になってましたね。世界がキムに振り回された数週間でした。
kiyoicho さま:中国が北の核保有を絶対容認できないというのは確かだと思います。だけど、体制も維持しなければ。今のやり方は、中朝ともに時間稼ぎなのでしょうか。体制崩壊後のシナリオにめどがついて、それが中国に有利なものだったら、中国の主張も劇的に転換するんでしょうか。なんか、日本が振り回されぱなしなのが悔しいですね。
benkei さま:キム総書記の一言が世界をあわてふためかせているように、もし日本が、ひとこと核保有宣言をすれば、きっと世界の中心になるでしょう。ただ、キム総書記は孤立も制裁もへとも思っていない。日本は、なまじっか友達の多い優等生だから、クラスメートから白い目で見られることに耐えられないんですよね。ちょっと、ワルに憧れる学級委員の気分です。
take8 さま:米国が守ってくれるから、安心、なのかなあ。ほんとうに。と、ときどき不安が頭をもたげてくるのも事実です。
かわら屋「たいせい」 さま:ほんとうは、失敗だった、ちうのはありそうですね。でも、その失敗すら、うまく利用してしまったとしたら、北朝鮮の戦略というのは、たいしたものです。いずれ、また同じような緊張状況が繰り返されるでしょうが、ほんとうにそのときの中国の対応は注目です。
qomo8848 さま:チベット亡命者射殺事件、出稿してみると、けっこう大きくのってしまいました(明日の朝刊)。怒られたときのいいわけ考えなきゃ。ほんとうは、いつも中国のいいところを記事に書きたいと思っているのですが、いかに不法越境者といえど、無抵抗の子供を背後からうつのは、弁解のしようがないでしょう。たとえば、米国兵士が逃げるイラク少年兵士を射撃した映像が世界にながれても、私は人権蹂躙だと批判する記事を書くと思う。別に中国だから、批判しているんじゃないんだって。中国は、やはり法治国家として、銃撃した国境警備隊の行為に行き過ぎはなかったか、きちんと調査して、射撃手への処分とともに公表すべきではないでしょうか。これでいいでしょうか。
福島香織さま
そうですね。米中露の3カ国が心配してるのは、それぞれ自国内での核テロでしょう。投下千氏が訪問した国々であり、ライス氏がいま回って歩いてます。
核ドミノがありありえるので、日本が核を持つと困る、とアメリカは言うでしょう。ですから、自分を守るために核を持ちたいと日本は言うべきなのです。アメリカや中国のネジを巻いて北朝鮮に圧力をかけるのです。
福島香織様
いま記事を拝見しました。いやー、すごい。立派。その通りです。でも、当たり前のことなんですけどね。どうして他紙は当たり前のことを書かないのでしょう。
ドキュメンタリー「ヒマラヤを越える子供たち」もお送りしたいのですが、検閲なんかあるとご迷惑がかかるでしょうから、一時帰国されたときにでも見てください。また機会があれば、実際にチベットへ行き、5年の西部大開発でチベットがどう変わったのかも取材されたらいかがですか。ラサはすでに中国の地方都市になってしまい、おもしろくありませんが、ヒマラヤの景色はそのままですばらしいですよ。今回の事件の舞台であるチョーオュー山やその隣にある世界最高峰チョモランマ峰など8千m峰も目の前に見ることができます。私は宗教心ゼロですが、それでも神々しいと感じます。そんなところで今回の射殺事件が起きたが悲しい。
おはようございます。
福島さん、貴女の「中国人権蹂躙」の記事今朝は大きく出ていました。益々のご活躍、今後とも体調管理十分に頑張って下さい。それにしてもオリンピックを控えた国がなんというオゾマシイ事をするのでしょうか?人の命をこうも軽々と。
「ええ加減にせな、どないなっても知らんぞ、われ!」と親分に恫喝され、武闘派直参組長は「はぁ、そうでんな」とこれを聞き入れた振りをした。
しかし、本心は変わっていない、そして大親分もそのことを分かっていて、今は戦略的互恵関係にある(山口組と稲川会みたいに)別の組織暴力団組長と、「うちで締めときまっさいかい、まぁ様子見っちゅうことで」と、取りあえずの共通認識を得た。
97年の宅見五代目若頭殺害事件、昨年の五代目強制引退など、かつてならば、これでやらなければ何時やるのだ!と
言えるほどの重大、深刻な出来事だったにも関わらず、戦争は起こらなかった。
シノギが出来なくなるような大抗争を嫌い、早め早めに手打ちをする、これが山一戦争(山口組四代目殺害後に勃発した、山口組対一和会の抗争)後のやくざのリアリティですね。 “採算の合う”仁義無き戦い、しかしなくなった。
やくざをメタファーにした先日来のエントリーは出色だと思いますが、大和撫子ジャーナリストの福島さんにおかれては、更に深く現代やくざのメンタリティ、行動基準を研究頂ければと存じます。 フジと後藤組(山口組系)の件、ご存じないとは言わせませんぞ!
福島香織様
チベット難民射殺事件、生存者は金曜日にカトマンズからデリーへ旅立ったようです。家族で離ればなれになった人もいるようです。つかまった人たちの無事を祈ります。
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?nid=89258
チベットの記事真正面から日本へ伝えた後の福島記者の身辺のほうが心配です。また“当局に怒られたヨ”で済めば良いのですが、北京での拘束よりも「PNG」で国外追放された後の日本での安全のほうが気になります。支那は執念深いですから・・・。