■きょう5日は世界環境デー、北京の人民大会堂で世界環境会議がありました。取材させろー、と訴えましたが、非公開なんです。ぎょっとするような環境破壊ぶりを示すデータがいっぱい出るからでしょうか、それとも周辺国から、ぼこぼこにつるし上げを食らってしまうのを見せたくないのでしょうか。
ということで、本日は環境、特に黄砂問題についてです。最近読んだ、雑誌「小康」で「北京は砂に埋まる」というタイトルの特集がありましたが、これ冗談ではないのです。
■4月17日、北京では一夜にして30万㌧の黄砂が降りました。朝、目覚めると世界はイエロー。車にも街路樹にも1センチくらいの黄砂がつもり、空気は生臭い砂のにおいがみちていました。それ以前にひどい黄砂の記録というと2002年3月20日でしたが、そのときは降った砂は3万㌧。少なくとも気象記録上は、こんなに一度に大量に黄砂が降ったのことは建国以来ありませんでした。
いったいなぜ、北京に降る黄砂がこんなに多くなったのでしょう。
実はあの日、北京に降ったのは、内モンゴルのゴビ砂漠から偏西風にのってただよってきた普通の黄砂ではなかったのです。最近の統計によれば、北京の黄砂の80%が北京現地や周辺のもの、つまり黄砂の発生源は北京とその周辺だったのです。
北京市には現在1046カ所の建設現場があり、そこでは大量の建築材が露天に放置されています。天気のよい日に景山公園に上って市内を一望すれば、建設現場からもうもうとホコリがたっているのがよく分かります。また市内で完全に砂漠化している土地も10万ムー(一ムーは6・67アール)、市総面積の0・4%程度あります。さらに隣の河北省の砂漠化がひどい。北京から直線距離にしてわずか70キロの地点がすでに完全な砂漠です。河北省の砂漠化ぶりはこんな感じ。
■これに加え、北京では年2900万トン以上の石炭がろくな脱硫装置もないまま燃焼、さらに車の排気ガス。05年、衛星からの観測では北京が世界最大の排ガス汚染地域のひとつだったそうです。ここに強い風がふくと、建材のホコリ、市内外の砂漠の砂、排ガスなどがほどよーく混ざって舞い上がり、滞留時間のながーい北京特有の黄砂となるのでした。
こういう空気の中では息をするのも苦しいですし、目や皮膚が傷んでたまりません。
■黄砂は昔から俳句の季語にもなるくらいですから、自然現象といえなくもありません。地球全体の温暖化が砂漠化の原因というなら、中国だけをせめるのも酷かもしれません。しかし、北京でひどい黄砂が頻繁にあらわれた時代をすこし振り返ってみます。たとえば元時代の1367年には黄砂が44日続いたとの記録があります。これは建都のため、北京、河北省周辺で大量の森林伐採が関係しているといわれてます。六〇年代も黄砂がひどい時期でした。これは大躍進で鉄鋼の大増産のために森林を伐採をしまくったことが遠因とも言われています。
黄砂のひどい時、背景には政府の不合理な開発政策があったということも忘れてはならないでしょう。でないと、国際協力で黄砂を防ぐぞ、いくら周辺国が意気込んでも、空回りしかねない気がするのです。
■黄砂問題を解決するには、まず緑化、植樹だといわれています。しかし、木は水がないと育たず、今北京には木にやる水がない。郊外の農村では農業用水や生活用水にもことかくところがたくさんあるのです。そもそも、北京市の都市能力では1200万人の人口を支えるのが精いっぱいといわれているのに、すでに1600万人暮らしていて慢性的な水不足なのです。
で、あの長江から北部に水を運ぶ大運河プロジェクト「南水北調」に期待があつまるのですが、世界最大の汚水溜めとも言われる三峡ダムから運ばれた水が北京にどっと流れこめば、これまたどんな環境破壊がおきるか。
■砂に埋まるか、汚水浸しになるのか。北京っ子にどちらがいいか尋ねると、「そのまえに人口を半減するべきだ」といいました。軍隊でも出すつもりでしょうか。別の中国人(きっと上海人)は、遷都すればいいと言っています。
いずれにしろ、北京の未来は薔薇色とはいかなさそうです。
が、それでも2008年のオリンピックのスローガンは「緑色五輪(エコロジー)」。こういう強気に、お人好しの隣人はいっそう不安にかられてしまうのです。
■黄砂問題を解決するには、まず緑化、植樹だといわれています。しかし、木は水がないと育たず、今北京には木にやる水がない。郊外の農村では農業用水や生活用水にもことかくところがたくさんあるのです。そもそも、北京市の都市能力では1200万人の人口を支えるのが精いっぱいといわれているのに、すでに1600万人暮らしていて慢性的な水不足なのです。
で、あの長江から北部に水を運ぶ大運河プロジェクト「南水北調」に期待があつまるのですが、世界最大の汚水溜めとも言われる三峡ダムから運ばれた水が北京にどっと流れこめば、これまたどんな環境破壊がおきるか。
■砂に埋まるか、汚水浸しになるのか。北京っ子にどちらがいいか尋ねると、「そのまえに人口を半減するべきだ」といいました。軍隊でも出すつもりでしょうか。別の中国人(きっと上海人)は、遷都すればいいと言っています。
いずれにしろ、北京の未来は薔薇色とはいかなさそうです。
が、それでも2008年のオリンピックのスローガンは「緑色五輪(エコロジー)」。こういう強気に、お人好しの隣人はいっそう不安にかられてしまうのです。
@((o^ェ^))@ <はじめまして♪2008年の北京五輪スローガンが「緑色五輪(エコロジー)」とは初めて知りました!日本同様長い大麻文化を持つ中国が環境的見地から大麻を有効活用していただけることを切に祈ります。
上海遷都というのも十分に考えられますね。支那の歴代王朝で北支那から異民族によって追い出され、南支那に遷都した例も少なくない。ただし、今回のように砂漠化で遷都というのは救いがない。
日没する国ならぬ、砂に沈む国というのは少しも洒落にならん。