成田空港でただいま籠城中:馮正虎さんかくかたりき④

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■メリークリスマスです。

しばらくパソコンのない世界にいっており、更新が滞っておりました。ごめんなさい。すでに記者ブログでもない拙ブログですが、やはりおいでになってくださるかたが結構いらっしゃる。感激です。

 

■さて、私はこれから奈良の実家に帰省しようと、荷物をパッキング中です。失業者らしく夜行バスで帰ります。でも夜行バスって寝ている間に移動できるから、お金だけでなくすごい時間の節約ですね。私の場合、中国の三段ベッド式の「濡れた子犬の臭い」でむせかえるような長距離バスで鍛えてますから、日本の夜行高速バスなんて、動くホテルに感じます。

 

■で出発の前に、さくっと更新しておきます。またか、とあきれられるかもしれませんが、成田空港に籠城中の馮正虎さんの話です。彼から、26日に成田空港でくばるビラを翻訳してくれ、でもってブログでも掲載してくれ、と頼まれたので、最近の馮正虎さんの写真とともにご紹介します。

 

■22年度予算の決定、あるいは鳩山政権存続の危機(?)という国家的重大局面において、日本人にとってはどうでもいいネタかもしれません。ですが、友人が国家の事情でクリスマスもお正月も家族と一緒に過ごせない、と思うと、個人的にはそちらの方が胸がいたいんですよね。

 

■そりゃ日本に入国すればいいじゃない、と思われるかもしれませんけれど、入国しても妻子と母親が待つ祖国に帰れないという点は変わりません。彼が帰国できない理由が、彼の人権活動が上海万博の邪魔になるから(?)とか、そういう理由だったりすると、本当に憂鬱な気持ちになります(理由ははっきり説明されていない)。しかも、現政権はそんな国に身も心もささげんばかり。中国との関係はもちろん重視すべきですが、やはり、見過ごせない点は見過ごせない、いってほしいものです。というわけで今年のクリスマスは、天下国家ではなく、隣人の小さな幸せを祈ることにします。

 

■26日発表(予定)のビラ。(原文は中国語)

 

東京の空港でがんばっている中国公民・馮正虎さんについて:

 

中国の人権活動家、馮正虎さんは中国当局に8回にわたって帰国拒否にあい、2009年11月4日から日本の東京成田交際空港第1ターミナル南ウイングの入国審査ロビーでで寝泊まりし、12月26日で53日目を数えます。毎日、服をきたまま長椅子の上で眠り、50日余りもの間、風呂にもはいらず、最初の数日は食べるものさえなく、ただ水をのんで命をつないでいました。現在は日本に入国する中国大陸、香港、台湾の人々および海外華人や外国の友人たちが空輸で運んでくれる食品および義捐金に頼っています。彼は、すでに母国に帰ることのできない中国公民であり、まるでハリウッド映画「ターミナル」リアル版さながらの悲劇の人物となってしまいました。

 

 馮正虎さんは中国人民共和国のパスポート(G33406155)をもち、上海市に戸籍もあります。 2009年4月1日に合法的に出国して日本でしばらく休養したのち、6月7日に帰国しようとしたところ、上海浦東空港の警察によって入国を阻止され、以降7回連続で違法に入国を阻止されました。

8回の帰国妨害に関して、上海の関係部門(入国管理部門)はなんの書面による説明もなく、なんの法的根拠も、理由も示していません。ただ、上層部の口頭による命令があるだけなのです。上層部の一言で、中国公民は母国に帰ることができない、ということなのです。

 

馮正虎さんは、これまで中国憲法など法律を順守し、国家政権を転覆させるような言動はしたことがありません。しかしなぜ上海当局は、彼の母国への帰国を阻むのでしょうか?なぜなら、彼は中国で人権活動に従事し、権利を侵害された市民のために法的支援を行い、社会的弱者を助け、中国の司法の不公平さへの批判をたくさん行い、上海地域の官僚らの人権侵害を暴く文章を発表してきたからです。

 

さらに重大な問題は、2009年11月3日、馮正虎さんが8回目に帰国を試みて上海浦東空港に到着したとき、上海警察と日本の全日空上海支店の職員が翌日、暴力的手段によって、強制的に日本行の飛行機に搭乗させ、日本に『拉致』されてきた、ということです。だから、馮正虎さんは日本入国を拒否し、中国人の尊厳を堅持し、上海当局の人権侵害に対する抗議を続けて、中国政府が公民を保護する責任を履行して、彼を帰国させることを要求しているのです。

 

馮正虎さんの唯一の要求は帰国し故郷に戻ることです。彼はすでに日本のビジネスビザを放棄する声明を発表しました。国連難民高等弁務官事務所が彼に国連難民資格を申請するよう働きかけたとき、彼は丁寧に断りました。彼はこう答えました。「私には自分の国家があります。中国は私の祖国です。私は中国の知識分子であり、中国に対しても責任があります。いま、私に必要なのは帰国することです。これは、中国人の最も基本的な人権です。中国当局が中国国民を帰国させないのは、国連憲章、国際人権条約に違反するだけでなく、中国憲法にも違反します。中国では、たくさんたくさん苦難があることは知っていますが、私はやはり中国にとどまりたいのです。」

 

馮正虎さんの祖国への忠誠と、なんとしても帰国権を勝ちとろうとする不屈の精神は国内の人々、海外華人、そして全世界の外国人の尊敬を得ています。中国人であれ、米国人であれ、カナダ、ドイツ、日本人、その他の国家の人も、宗教信仰、政治派閥、肌の色や人種の違いをこえて、みんながともに人類愛を発揮して、この困難に陥っている中国人に愛と関心と援助を与えているのです。

 

一方で、中国政府は何をしているのでしょうか。過去8回、一人の優秀な中国国民を無情にも中国の門前で拒絶し、現在にいたるまで、日本の国の門前で恥を忍んで肉体的にも苦痛に耐えている中国国民になんの関心も払わないのです。

 

馮正虎さんが帰国できずに日本で野宿している事件は世界を驚愕させました。米国、英国、フランス、ドイツ、日本、オーストラリア、スペインなど多くの国の主要な新聞、テレビ局が取材し報道しました。全世界のインターネットで、これぞ中国人の悲哀だと伝わりました。中国国内の民衆、海外華人の間でかつてないほどの怒りの声があがり、これは中国人にとって国の恥だと言っています。中国当局はこの事件の広がりに対し国内で統制を開始していますが、ネット統制を突破できるプロキシソフトなどをつかって、ますます多くの中国国内の人々が馮正虎さんの帰国に関する悲惨な物語を知るようになっています。

 

馮正虎帰国にまつわる悲惨な物語について、全世界の人々はみな、なぜ自国民を帰国させられないのか、不思議に思っています。たとえ犯罪を犯していたとしても、捕まえて帰国させ裁判を受けさせるべきでしょう。中国は責任ある大国になろうとするなら、まず自国民に対する責任を負い、馮正虎さんを帰国させなければなりません。中国政府が各国の人々や海外華人の中国観光と上海万博の参観を歓迎するなら、自国の上海市民の帰国を拒絶すべきではありません。

 

 あなたにお願いです。中国公民・馮正虎さんが帰国し家に戻れるようにいろんな方法で声援を送り支持してください。馮正虎さんと上海に残る妻子と90歳を過ぎた母親が一日も早く家族のだんらんを持てるように。

 

                           2009年12月26日

 

 

 

(以上、翻訳は福島)

 

 

 

 

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「成田空港でただいま籠城中:馮正虎さんかくかたりき④」への10件のフィードバック

  1. 馮さんのお体が心配ですね。
    この季節、せめて熱いシャワーなりとも浴びることの出来る環境であればいいのですけど・・・・。

  2. 香織師匠
    > 今年のクリスマスは、天下国家ではなく、隣人の小さな幸せを祈ることにします
    「クリスマスだもの、奇跡も起こるさ…」という結末が訪れん事を…
    人権よりも主席様との握手を重視した現政権与党議員各位に期待するだけ無駄なのかと思うと何だかなぁ…こないだの写真より馮さんは疲れてらっしゃるように見受けられますが、その強い信念にあらためて感服致します。 
    > 夜行バスって寝ている間に移動できる…
    東京->近畿なら臨時急行「銀河5x号」が懐かしい…カーフェリーとか夜行バスとか寝ながら移動出来る交通手段ってもうちょっと見直されてもええと思うんですがねぇ..

  3. >3.政治理念・政策の基本
    >(1)品性ある国民、品格ある日本
    >(イ)頑張れるものは頑張る
    >(ロ)それでもだめなら皆で助ける
    >(ハ)自律と秩序ある市場経済
    >(ニ)地域社会と家族の絆の再生
    >(ホ)「和」のこころや「温かさ」の回復と共生
    >(2)不必要なことをせぬ政治
    >(イ)自分だけ良ければ良いのではない
    >(ロ)今だけ良ければ良いのではない
    >(ハ)自助、共助、公助の条件づくり
    >(3)憲法改正
    >(イ)日本型保守の価値感を基本に、時代の変化に対応する憲法
    >(ロ)人類の新たな目標、国際社会に貢献する憲法
    >(ハ)権利と義務のバランス、地方自治を明確にする憲法
    http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2009/seisaku-029.html
    http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20091225
    --------------------------------------------------—-
    本当にやる気があるのなら、まずは態度や行動で示して欲しい気がしますが・・・。やっぱり口先だけ?

  4. 今年のクリスマスは、天下国家ではなく、隣人の小さな幸せを祈ることにします

    いい心掛けです 
    一路平安 !!

  5. Merry Christmas! 福島さん。
    ご家族とよいクリスマス休日を過ごされていることと存じます。
    本当に「ターミナル」のトム・ハンクスのようなことがあるものなのですね。まだ解決していなかったとは驚きです。
    小沢ー鳩山朝貢外交では、日本政府には期待できません。中国政府の人権無視、日本政府の無関心の象徴として(誠に申し訳ないのですが)馮正虎さんにはもう少し頑張ってもらって、この不条理を世界に知らしめて頂きたい。
    映画のようなハッピーエンドを願っていますが、国際世論の力で旧正月までには何とかならないものか・・・。
    Hermes

  6. 前回は変な書き方になってすみませんでした。
    空港側の「面倒がり屋」と向こうの政治との「連係プレー」とかいろいろ考えてしまったもので。
    福島さんは今のところ奈良にいらっしゃるんでしょうか?
    懐かしい言葉の響きの中でいろんなものを癒してください。

  7. 馮さんにはお気の毒だと思いますが、このような問題を見るにつけ、ホント中国人って難儀な人たちだなあと思うのは私だけではないと思います。自分ん家の問題なのに何でひとん家で迷惑かけて英雄気取りなのか。サポーターは別に迷惑かけてないと言うのでしょうが、はた迷惑というのはまさにこのことですよ。おまけに日本の航空会社の固有名詞を出して、あたかも悪徳中国政府の手先のようにあげつらう。それも酷い暴力行為があったと一般の人たちの感情に訴えかけるような一文を挿入して。中国の航空会社だったらそもそも成田から乗せてないし、馮さんだってまた入国拒否になることは想定されていたことでしょう? 知人に聞いたところ、入国拒否されたら、乗せてきた航空会社の責任で送り返さなければならないとのことで、そうしなかったらその会社の飛行機が止められるかもしれないそうです。とにかくお気の毒ではあるけれど、彼を英雄に仕立て上げるのは如何なものでしょうか? 

  8. 福島さん、あけましておめでとうございます。
    ご実家でのお正月はどうですか、休養できましたか?
    馮さんのニュースを英語CNNwebusiteで拝見しました。
    中国政府の目にどのように移っているか分かりませんが、
    中国から外でにでているこいう方にとっては、メデアにアピールすることが、
    自身や家族の安全を守ることにもなるのでしょうね。
    中国で売血による深刻なエイズ禍を世界に告発してきた著名な女医、高耀潔さん(82)という高齢者でさえ、米国に亡命せざる得ない状況です。
    国を支える大多数の国民の命よりも、高官の面子と生活が大事なお国の考えていることは分かりません。
    馮さんの健康と、中国に残されたご家族の安全を願うばかりです。

  9. To jazzyさん
     私も、航空会社や空港を責めるのは、やめた方がいいといっておきました。彼も今は、空港職員の配慮などに感謝の意を示していますよ。当初は、興奮して腹のたつままに、ANAを責めたこともありますが、日本側には基本的には非がないですから。
     馮さんの問題は、空港施設管理の盲点をついている部分もあるんですね。成田空港株式会社が責任を負うんですけれど、入管カウンター前のスペースは税関が管理責任をおっている。一方、入管業務自体は法務省入国管理局の責任。入国については、本人に入国の意思があるものに対して許可することになっているので、本人に入国の意思がない場合、強制するようなものではない。もし、本人が病気などで意識不明になった場合、彼を乗せてきた航空会社が代理で手続きを行う、という特例措置はあるらしいんですけど。
     問題は、中国の政治的理由で日本がこういう迷惑を被った場合、日本側が中国側に強くいえない、強くいっても、中国側は譲歩しない、という面ではないかと思います。なぜ、彼が帰国できないか、その根拠は何も示されていない。このまま、日本が馮さんの空港内滞在を認めたままだと、同じようなケースが今後、起こるかもしれません。

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