■ブログで、2007年の中国を予想してください、とIZA編集局から任務が下された。新年企画らしい。というわけで、来年の中国はどうなるか。第17回党大会は?日中関係は?北朝鮮問題は?中国経済は?報道の自由は?人権は?といろいろ考えてみた。しかし、中国は表面の動きと、地下の動きがあり、われわれの、そして国家指導者すらあずかりしらぬこところで着々と変化の胎動がはじまっている。予想できそうなものもあり、まったく予想つかないものも、予想を裏切りそうなものもある。というわけで、当ブログでは、予想ではなく大妄想いたします。根拠?あるよ~で、な~し!!
■2007年のキーワードは「和諧」、ではなくて「闘争」!
■いきなり、ヤクザ映画風。2007年の中国を象徴する言葉をイメージして、と周辺の人々(日本人を含む)に聞き回ると、多かったのは「格差」「闘争」。いずれも錦濤政権のスローガン「和諧社会」の建前を完全にうらぎっている。ただ格差は今に始まったことでないので、ここはあえて「闘争」で切ってみよう。(といつつ、和紙に、闘争、と揮毫してみる)
■闘争といえば、中国最大の黒社会(マフィア)、中南海組の内部闘争、もとい共産党中央の政治暗闘。五年に一度の最大政治イベント、第17回党大会を07年秋にひかえ、06年すでに上海閥のプリンス、陳良宇・前上海市書記が血祭りに上げられ、芋づる式にその一味がとらわれた。その余波は中央官僚にまでおよび、国務院統計局長だった邱暁華もアウト。最近の香港雑誌、広角鏡によれば、邱氏は、地方政府のGDP値のごまかしを黙認することをひきかえに、多額のワイロを受け取っていたらしいが、もちろん、背景には、上海閥とのからみがある。
■さて腐敗一掃を掲げての上海閥および中央への抵抗勢力押さえ込みをかねたこの政治暗闘、目下比較的順調で、気がつけば全国31省・自治区・直轄市のうち、18省・自治区・市でNo1(書記)かNo2(省長とか市長)の地位に〝団派〟とよばれる胡錦濤派の人事が完了している。しかし、06年10月の6中総会人事での李克強・遼寧省書記、李源朝江蘇省書記の政治局入りを阻止されるなど、肝心なところで思惑をはずしており、やはり抵抗勢力は強いのだ。この場合、抵抗勢力とは、もはや江沢民を中心とする上海閥ではなく、曽慶紅を中心とする「太子党」ということになる。曽慶紅は、次ぎの人事(第17回党大会)で党内序列2位、つまり全人代常務委員長の地位につくことを引き替えに、上海閥を売ったワル、ともっぱら言われているが、胡錦濤にとっては江沢民以上に手強い相手になること、間違いナシである。
■??????というわけで、07年前半、この政治暗闘の流れはより一層激化。第18回党大会(2012年)の跡継ぎ人事を念頭においた、団派(共産主義青年団派閥、胡錦濤派)と太子党(いわゆる革命世代2世、曽慶紅派)の攻防が展開されよう(いいかげん)。黄菊、賈慶林らが静かにフェードアウトできるか、あるいは血祭りにあげられるかは、この攻防のなりゆきも関係ありそうだ。
■??????闘争といえば、階級闘争。階級闘争とは、階級と階級の間に存在する社会矛盾を克服する闘争。1921年に中国共産党建党時にかかげられた「プロレタリア階級と革命軍隊によってブルジョア階級を打倒し、勤労階級によって国家を再建し、階級差別を消滅させる」というやつだ。来年、毛沢東の階級闘争至上主義の皮切りとなった反右派闘争からちょうど50周年。ふたたび、階級闘争のうねりが??
■??????中国がすでに階級社会であることは、中国政府系シンクタンクの社会科学院がみとめるところ。中国10大階層とは、
(1) 国と社会管理者階層(胡錦濤さんたちだ)
(2) 経営者階層(国有企業トップとか)
(3) 私営企業主階層(浙江省の温州商人とか)
(4) 専門技術要員階層(いわゆる専門職、技術屋さん)
(5) 事務要員階層(会社員、OL)
(6) 個人経営商工業者階層(街の飲食店経営者とか)
(7) 商業サービス業従業員階層(ウエイトレスさんとか、店員さん)
(8) 産業労働者階層(工場労働者)
(9) 農業勤労者階層(農民)
(10) 都市無職、失業、半失業(ホームレス、物乞い)
このうち、1,2、3,4まで、ほとんど世襲制で、階級間の固定化がすすんでいる(と社会科学院も認めている)。つまり、農民の子供が、専門職になったり、私営企業家になったり、国家指導者になったりする可能性はほとんどないのだ。中国、どう考えてもカースト社会である。
■??????さらに階級格差は確実に開いており、トップ20%と下層20%の貧富の差は70倍。これは公式見解のとても奥ゆかしい推計である。???こういった階級格差の不満が、いわゆる集団事件(暴動)というかたちで発露しやすい状況になっており、暴動発生件数は05年の公式統計で8万7000件だが、06年は一層多くなっている気がするし、07年はさらに増えると、私は思う。少なくとも、中国報道でも、土地収用や企業による汚染をきっかけにした抗議活動や打ち壊しがほうじられ、警官が出稼ぎ農民を殴ったとか、病院が貧乏人の手当を拒否し見殺しにした、といったささいな個別の事件をきっかけに万人単位の抗議活動が発生していることがうかがえる。
■ところで、中国の国家「義勇行進曲」で、「立ち上がれ、奴隷であることを拒むものたちよ」という歌詞があるが、06年の全人代閉幕式ではこの曲がかかっても誰も斉唱していなかった。おそらく、この歌詞はやばい、この歌詞がテレビで流れれば、本当に飢えたる民が立ち上がって、われわれに刃向かってくるのではないか、と中央のトップらは感じて、斉唱の習慣をとりやめたのではないか。という噂があるくらい、中国では下層階級の反撃を懸念している。こういった下層階級の不満をうけて昨今の左派世論の台頭があるのだが、胡錦濤政権は、この左派世論にどう対処するのか。まさか、階級闘争をよびかけるわけにもいくまいが、社会不安はいっそう顕在化していくのではないだろうか。
つづく(同じ原稿を4度かいて、4度とも新規投降エラー。こんどこそ成功してくれないと、年内に2007年予想原稿をエントリすることをあきらめざるをえないよ~)?
福島さん、
1)太子党との権力闘争、見ものです。有好?看!
2)>>中国の国家「義勇行進曲」で、「立ち上がれ、奴隷であることを拒むものたちよ」という歌詞があるが、(中略)この歌詞はやばい、
笑えました、あははは。しかし何時「奴隷」が立ち上がるか、これも見ものです。
本年は貴重な情報ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。しかしお体だけはくれぐれもお気をつけて、よき新年をお迎えくださいますように。
>といつつ、和紙に、闘争、と揮毫してみる
『人に揮毫を頼まれると好んで書いた「常在戦場」は旧長岡藩の藩是である。』
http://koibito.iza.ne.jp/blog/entry/93975/
大変ご苦労様でした。
新年もますますのご健筆あれかし。
福島小姐;
今年一年お疲れ様でした。一時間早く日本は間もなく新年を迎えます。
2007年が中国人民、そして中国大陸の同胞によい年になることを願いまして。
祝?新年快?!
福島様
やはり、システム改修に悩まされたようですね。
それはさておき、階級闘争、この辺りは古来から指摘されているところ。
きっとマルクスなども(私は著作を引用以外で読んでいないので)そうした分析はしていると思いますが、資本主義経済を取り入れた時点でこうなることは予測されていたことなんでしょう。
聖書のマタイ伝がそのことを端的に現しているのだと思います。
現行の体制は少々のことでは壊れないでしょう。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~geru/page013.html
年の瀬までお疲れ様です。
来年が、更なる飛躍の年になりますように。
良いお年をお迎え下さい。
To マルコおいちゃんさん
くりかえしてしまいますが、あけましておめでとうございます。
権力闘争のゆくえ、まだまだわかりません。
今年も、いろんな視点からリポートしていきたいです。
To ニッポニア・ニッポンさん
またまた、あけおめ~。どのコメントから見ていただけるかわからないので。今年も当ブログをよろしくお願いします。
To sakuratouさん
あらためて、あけましておめでとうございます。
どこのコメントから読んでもらうかわかりませんので、念のため。
本年も当ブログご笑覧ください。
日本に帰られた、というのは一時帰国ですよね?
北京は雪の正月になりました。
To kkzz07さん
あけましておめでとうございます。本年も当ブログをご笑覧ください。
システム改修のせいなのか、台湾の地震による海底ケーブルの問題なのかはわかりませんが、とにかくアクセスがおそく、エラーが多いです。中国の場合は、当局の妨害か?とも思ったりして。