■新華社は午前4時22分(北京時間)にCNNネットを引用するかたちで、北朝鮮が3発ミサイルを発射したこと、23分に米国務院が「挑発行為」と非難したことなどを速報で報じました。新華社にしては、敏感な反応です。中国がいかにミサイル問題を懸念していたか、なんとなくわかります。8時ごろに携帯に入った、新浪ニュースでは計6発のミサイルが発射されたことなど事実関係をしっかり報道していました。
■一方、中国側の公式見解となると、なかなか出てきません。こういう外交事件がおこると、私たちは中国外務省報道官室に電話をかけて、コメントを求めるのですが、朝から電話はパンクじょうたいで、やっとつながっても、「コメントありません~」と情けない声で一言いうだけでした。
■そりゃそうでしょうよ。武大偉外務次官は、6月下旬、六カ国協議関係国の大使に個別にあって、六カ国協議再開への希望を託して懸命に根回しをしていました。中国は日米には、状況を悪化させるような刺激的な言動は控えるようにと求めながらも、北朝鮮には自制を相当強く求めていましたし、同時に中朝友好条約45周年行事には、回良玉副首相を団長とする中朝友好訪問団の派遣も発表し、中朝関係維持にも気をくばりをみせていましたっけ。そういや、回良玉、予定どおり訪朝するんでしょうか。今、のこのこ平壌へいって中朝友好ばんざーい、などとやってれば、相当まぬけにみえてしまう(I総局長談)のですが。おなか痛でも起こしてもらって、病欠にするしかない?
■北朝鮮は、そういう中国の心くばりや努力を、あざ笑うかのようにこの六発のミサイルで、足蹴にしてしまい、中国のメンツはまるつぶれです。 中国新聞などの報道をみると、「外電によると米国は特使を北朝鮮に派遣し引き続き北朝鮮に六カ国協議に復帰するよう働きかけている」、と、まだ六カ国協議再開に一縷の望みをつないでいるようですが、はっきりいって無理ですよねぇ。中国、今世紀に入って最大の赤っ恥をかかされたうえ、国際社会の中で、きわめてビミョーな立場にたたされたかっこうになります。日米と一緒に北朝鮮を非難すれば、鮮血で固めた友誼、今日、この日で終わってしまいかねません。北との強い友誼は、中国にとっても重要な外交戦略カードだから失いたくなーい。でも、北朝鮮擁護にでれば、今までの国際社会で築いてきた信頼や関係がゼロになってしまいかねません。さあ、どうする。
■新浪のニュース掲示板では、「北朝鮮の正義の行動を支持するぞ」などと、6000以上のエールが送られていました。朝鮮戦争なんてろくに知らないネットユーザーが、北朝鮮をこんなに応援するのは、実は中国が困っているのをみてうれしがっているのではないか、小国なのに堂々と中国にいやがらせしてしまう北朝鮮にシンパシーを感じているのでは、とかんぐってしまいます。中国人って本音では共産党きらいみたいだし。米国の独立記念日とディスカバリー打ち上げ、、中朝友好条約締結45周年記念行事前夜という、タイミングでミサイル発射といういかにも映画好きの「金正日将軍様」らしい演出効果は、派手好きの中国人好みのやり方でもあります。
■ところで、運転手やアパートの職員など北京のふつうの市民は、午前中の段階で私が聞き回った限りでは、誰もミサイルのニュースを知りませんでした。テレビのニュースでやっていたよ、というと、「いやあ、サッカーのニュースみてたから」(by運転手)。多くの市民にとっては、やっぱり明日の失業問題や住宅問題、そしてW杯のイタリア決勝進出のニュースの方が大切なようです。
北朝鮮ミサイル発射コメント集
当地福建省のテレビのニュースチャンネルでは安倍官房長官の記者会見、北朝鮮のミサイルの行進、日本国民が号外を見ている絵を流しました。ニュースの時に流れるテロップは北朝鮮の対外日本担当の言葉として、ミサイル発射は認める。
北朝鮮の主権の問題だとのコメントと中国外務省の日本と北朝鮮両国の冷静な対応を促す。とありました。
こんにちは。
確かに今回の件で中国当局は大きなダメージを受けましたね。
今まで「北朝鮮に顔が利く」「中国の言うことならきく」というのが大きな外交カードにもなってましたから。
それでも、今回の件を受けてもなお米国が中国の外交力に期待を示してるのが自分としては不思議でならないのですが。
本当のところはどう思ってるのか…福島さんの見解をうかがってみたいです。
輪廻さま:読んでくださってありがとうございます。
米国、何考えているんでしょうねぇ。ああ、めんどくせぇ、うちは中東で手いっぱいなんだよ。北朝鮮は石油でないし、中国に任せたんじゃないか、しっかりしてくれよ、とか思っているのかもしれません。私の妄想ですが。
ところで、今回のミサイル発射で米国は損をしたのか、得をしたのか。
米国の損した点:北朝鮮がミサイル発射しても、何もできない米国の姿をさらした?(それをいうなら中国か)
米国の得した点:日米同盟の強化。北朝鮮包囲網の強化。
日本はというと。
日本の損した点:北朝鮮のミサイル脅威にさらされる??
(でももともとあった脅威だし)日朝関係正常化が遠のく??(でも、もともと仲良くしたくない国だったし)
日本の得した点:北朝鮮経済制裁が実現した。日米同盟の強化。安全保障に関する認識が高まった。(きっと、小泉総裁後継者選びにも影響でるでしょう)
日米にとっては悪いことばかりじゃなさそうですね。
やっぱり、中国は本当に予想外だったのでしょうかね?
だとしたら、中国から北朝鮮に制裁が始まるのでは(^^;
ポコポコさま:読んでくださってありがとうございます。中国側(唐家センさん)は事前通告がなかった、とむっとしていましたね。北朝鮮が挑発しているのは本当は中国かもしれません。