中国「萌え」アートの台頭?その3

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 ■中国、特に北京で年々、熱気を増している現代美術市場。今買えば、確実に値上がりする、と知り合いのキュレーターらに言われ、若手の作品を物色中の私は、先日、国内外で今、ひっぱりだこの塑像作家の高孝午さん(30)のアトリエを訪問した。北京に滞在経験がある人なら、CBD(中央商業区)にそびえる現代城SOHOビルの中庭に並ぶ「笑うお辞儀サラリーマン像」を見たことがあるかもしれない。
 彼の作品を表題の「萌えアート」に分類するかどうかは異論がありそうだが、にんまり笑ったアニメ風笑顔、お辞儀ポーズなど、あきらかに日本的要素を感じる。

 

 

           真ん中が高孝午さん

 

 

 

 ■「僕の作品には確かにアニメの影響があるかもしれない」という高さんは、子供の頃は「一休さん」や「ドラえもん」などの日本アニメに夢中だったとか。
 美術学院で正式の美術教育を受けた通称「学院派」の彼は在学中は写実的作風だった。しかし、2002年ごろから中国で日本アニメが再び大流行し、その表現法に改めて興味を感じたという。
 ただ日本アニメだけでなく、中国の伝統、たとえば兵馬俑や仏像なども意識している。彼の塑像に共通するアルカイックスマイルは仏像を彷彿とさせる。ふるさと福建省は仏教寺院が多く、美しい仏像が彼の感性を磨いた。というわけで彼の作風は「一休さん」と中国仏教美の融合なのだ(?)。

 

 

 

 ■代表作となったお辞儀サラリーマン像は「標準時代」と題され、急速の経済発展を遂げる中国の上班族(サラリーマン)の姿を表している。かつて客が商品を求めても「没有(メイヨウ、無い)」と怒鳴る横柄な国営企業店員がはびこっていた中国も今や、サラリーマンは「標準」のお辞儀、笑顔で上司や顧客に気を遣わねばならない時代なのだ。アニメ風の薄っぺらい表現が、今の中国都市の浮薄さにマッチしている(と私は感じる)。

 ■文革後生まれの高さんの作品に政治色はない。彼の年代のアーチストはだいたいその題材を政治ではなく急速な社会の変化(と深まる矛盾)に求めている。そんな若手芸術家の作品の中にこれほど頻繁に日本アニメ、漫画、サブカルチャーのテイストを感じるということは、中国社会にいかに日本が深く入り込んでいるか、ということだろう、きっと。
 ちなみに高さんの作品は、大きい塑像で一体数十万元、小さい人形で4000元。若いながらもすでにいい値段がついているなあ。

 

 ■「家は農村で、決して豊かではなく、僕以外に四人の兄弟がいた。それでも両親は僕を美術学院に行かせてくれた」という高さん。彼の成功は、本人の才能とご両親の応援と、そしてちょびっと日本アニメのおかげではないか、と思っている。
 

 

 思わず自分の顔に似ていると思って記念撮影。

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「中国「萌え」アートの台頭?その3」への6件のフィードバック

  1. この表情、どこかで見たことある。
    そう、ファン・リジュン(方力鈞)の油絵に繰り返し登場したあの顔をそっくりなんですね。

  2. MAO@マチともの語りさま:
    ファン・リジュンの作風は、北京画派の一つとして確立してますね。あの張り付いたような笑顔は、やはり現代中国の表層的な発展に対するニヒリズムを感じるのですが。
     しかしそんな彼が今や、画家としてだけでなく、レストラン「茶馬古道」のヒットなど、中国の急速な経済発展の波にうまくのった実業家としても知られているとは。

  3. ファン・リジュン、昔から商売は上手かった。中国のアーチストのあり方というのはある意味でわかりやすい。凄まじい上昇志向と自分への自信。それの裏返しの他者への嫉妬などなど。清貧なアーチストという幻想はない。結果として貧乏なアーチストの方が多いのはどこでも一緒ですが、競争が半端じゃないですからそれを勝ち抜くというのは強運と才能でしょう。

  4. 香織さんの写真めっけ。
    >自分の顔に似ていると思って
    いえいえ、それはご謙遜。女子大生かと思った。
    「実物はもっと若くて綺麗です。」(to 2007/01/22)確かに!
    似ているのは、ちょっと柳葉敏郎似の高孝午さんの方。うんとデフォルメするとああなりますよ。芸人の原口が真似た柳葉がちょうどそんな感じかな。

  5. 中国勤務は過酷だった
    頭は脱毛症、顔面蒼白どころか全身蒼白
    最後に読者のためヌードご披露いただきありがとう
    隣の通訳(熟女?)によろしく

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